徳利(読み)トックリ

デジタル大辞泉 「徳利」の意味・読み・例文・類語

とっく‐り【徳利】

とくり(徳利)1」に同じ。「二合徳利
徳利襟」の略。

とく‐り【徳利】

酒などを入れる陶製・金属製などの、口の細い容器銚子。とっくり。
水中に入れると沈むところから》泳げない者をあざけっていう語。かなづち。とっくり。
[類語](1銚子

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精選版 日本国語大辞典 「徳利」の意味・読み・例文・類語

とく‐り【徳利】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 細長くて口の狭い、酒などの液体を入れる容器。陶製・ガラス製・金属製などがある。銚子。とっくり。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. 徳利<b>①</b>〈和漢三才図会〉
      徳利和漢三才図会
    2. [初出の実例]「久しぶりなれば、せめて盃事をと〈略〉徳利(トクリ)を提てゆくを」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)四)
  3. 水泳のできない者をいう語。水に入れるとぶくぶくと沈むことが徳利に似ているところからいう。かなづち。

とっく‐り【徳利】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 「とくり(徳利)」の変化した語。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「酒の好きな者の腹の脾胃袋の脇に酒が五升も三升もはいる徳利(トックリ)のやうなものがあって」(出典:黄表紙・十四傾城腹之内(1793))
  3. セーターなどで、首の部分がの首のように長くつくられているもの。タートルネック。とっくりえり。とっくりくび。
    1. [初出の実例]「黒いトックリのセーターを典雅な身にまとった邦彦が」(出典:野獣死すべし(1958)〈大藪春彦〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「徳利」の意味・わかりやすい解説

徳利 (とくり)

酒を入れて杯に注ぐための容器。瓶形を呈して頸(くび)がすぼまり,口も比較的小さい。得利とも書き,〈とっくり〉とも呼ぶ。〈とくり〉の語源については,酒を注ぐときの音を写したなどと説かれるが,定かではない。形態的には水瓶(すいびよう)や瓶子(へいし)などから成立したものと思われる。室町後期から〈とくり〉の名が見られるが,《節用集》が〈土工李(とくり)〉としたり,〈陶〉の字をあてて〈とくり〉と読ませているように,陶磁器のものをいったようで,同形の錫(すず)製品は〈すず〉と呼んでいる。《毛吹草》(1638)は備前名産として伊部(いんべ)(備前焼)の徳利を挙げ,《和漢三才図会》(1712)は中国・朝鮮産のもの(必ずしも酒器ではない)が最も良く,伊部がそれにつぎ,伊万里(いまり)もまた良いとしている。一般的なものは,1~2合入りの燗(かん)徳利と,1升あるいは5合入りの貧乏徳利で,前者猪口(ちよこ)との組合せで独酌内輪の小宴などに,後者は小買いをする客に対する酒屋の貸し容器として利用された。《守貞漫稿》が〈江戸近年式正ノミ銚子ヲ用ヒ,略ニハ燗徳利ヲ用フ〉といっているように,燗徳利と猪口の組合せが普及したことは,日本人の飲酒行動が銚子,木杯,金銀杯などを用いた酒盛り社会的・儀礼的な束縛を脱し,純粋に酒を楽しむ自由を獲得したことを示している。
酒器 →銚子
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「徳利」の意味・わかりやすい解説

徳利
とくり

酒器の一種で、酒を入れて杯(さかずき)に注(つ)ぐための容器。おもに陶磁器でつくられている。「とっくり」ともいう。口径が狭く、胴の膨らんだ背の高い形のものが多い。室町時代中期からこの名がみられ、得利、徳裏、陶などの字もあてられた。徳利は、初めは酒のほか、しょうゆや酢などを入れる容器にも用いられたが、現在では酒を入れる容器とされている。徳利の語源については、一説に、徳利は備前(びぜん)焼でつくられたものが多く、備前焼は安価で堅固であるところから徳利であるという意味で名づけられたというが、さだかではない。

 徳利の大きさは、3升(約5.4リットル)から1合(約0.18リットル)用までさまざまであった。このうち、5合(約0.9リットル)から1升(約1.8リットル)入りの徳利は酒店の貸容器として用いられ、これを俗に貧乏徳利とよんでいた。一方、1~2合入りの小形の徳利(燗(かん)徳利)は、ちょことの組み合わせで、酒を間接的に温めて飲む習慣の普及した大正初期まで広く用いられた。その後2合徳利はしだいに廃れ、1合入り、さらにはそれより小形のものが用いられるようになっている。

[河野友美]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「徳利」の意味・わかりやすい解説

徳利
とっくり

細長くて口が狭い磁器あるいは陶器製の容器。ガラス製や金属製もある。古くは,酒以外に酢,醤油などを入れた例もあるが,今日ではもっぱら酒の容器をさす。通常 0.18l (1合) 程度の容積とされているが,厳密な標準はなく,形状,色合い,デザイン,大きさなども千差万別である。俗に銚子とも呼び,これで燗 (かん) をするが,古来銚子と呼ばれた酒器はこの徳利ではなく,今日の茶瓶ややかんに似た形状の小型の酒器であり,徳利の登場は江戸時代末期以降といわれている。

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食器・調理器具がわかる辞典 「徳利」の解説

とっくり【徳利】

主に日本酒を入れて供し、杯につぐのに用いる、首が細くすぼまった容器。特に、燗(かん)をする場合にはだいたいこれを用いる。普通は陶磁器だが、ガラス製、金属製などのものもある。多くは胴の幅よりも背が高く、全体としては細長い形で、胴がゆるやかに膨らんでいる。容量は1合から数升程度のものまであるが、酒を飲む際に用いるものは普通1合ないし2合のもの。◇「銚子」ともいう。

とくり【徳利】

とっくり。⇒とっくり

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百科事典マイペディア 「徳利」の意味・わかりやすい解説

徳利【とくり】

〈とっくり〉とも。口が狭く胴のふくらんだ形の酒器。多くは陶磁器製。古代の酒器である瓶子(へいし)から変化したもの。酒の小買いに用いた1升前後入りのものを貧乏徳利と俗称。→銚子(ちょうし)

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世界大百科事典(旧版)内の徳利の言及

【酒器】より


[日本の酒器]
 酒を飲むために用いられる容器の総称。口に運んで飲むためのやグラス,それらに酒を注ぐための銚子(ちようし)や徳利(とくり∥とつくり)が主要なものであるが,杯を置く杯台,杯を洗うための杯洗(はいせん∥さかずきあらい),酒を貯蔵または運搬するために用いられる甕(かめ)や樽をも含む。ここでは酒を注ぐ器を中心に記述するが,日本でも古く土器のほかに酒器として用いられたものに,ヒョウタンやミツナガシワ(カクレミノあるいはオオタニワタリとされる)のような植物の実や葉,あるいは貝殻のような自然物があった。…

【徳利】より

…室町後期から〈とくり〉の名が見られるが,《節用集》が〈土工李(とくり)〉としたり,〈陶〉の字をあてて〈とくり〉と読ませているように,陶磁器のものをいったようで,同形の錫(すず)製品は〈すず〉と呼んでいる。《毛吹草》(1638)は備前の名産として伊部(いんべ)(備前焼)の徳利を挙げ,《和漢三才図会》(1712)は中国・朝鮮産のもの(必ずしも酒器ではない)が最も良く,伊部がそれにつぎ,伊万里(いまり)もまた良いとしている。一般的なものは,1~2合入りの燗(かん)徳利と,1升あるいは5合入りの貧乏徳利で,前者は猪口(ちよこ)との組合せで独酌や内輪の小宴などに,後者は小買いをする客に対する酒屋の貸し容器として利用された。…

【酒器】より


[日本の酒器]
 酒を飲むために用いられる容器の総称。口に運んで飲むためのやグラス,それらに酒を注ぐための銚子(ちようし)や徳利(とくり∥とつくり)が主要なものであるが,杯を置く杯台,杯を洗うための杯洗(はいせん∥さかずきあらい),酒を貯蔵または運搬するために用いられる甕(かめ)や樽をも含む。ここでは酒を注ぐ器を中心に記述するが,日本でも古く土器のほかに酒器として用いられたものに,ヒョウタンやミツナガシワ(カクレミノあるいはオオタニワタリとされる)のような植物の実や葉,あるいは貝殻のような自然物があった。…

【銚子】より

…注口(つぎくち)が両側にあるのを両口(もろくち),片側にあるのを片口といい,いずれも長柄をつけてあった。酒をつぐ器の代表的なものだったため,別系統の徳利が普及するにともない,徳利をもこの名で呼ぶことが多くなった。〈銚〉はもともと〈鍋〉の意で,《和名抄》は銚子を〈さしなべ〉〈さすなべ〉と読んでいる。…

※「徳利」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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