楊輝(読み)ようき(その他表記)Yang Hui

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楊輝」の意味・わかりやすい解説

楊輝
ようき
Yang Hui

13世紀後半,中国の南宋末に活躍した数学者。字は謙光。南宋の首府杭州の近くの銭塘の人。彼は宋代の数学を集大成し,また民間数学の発達に重要な位置を占めた。著わした数学書は,15種 21巻に上る。すなわち,前期の『詳解九章算法』・『九章算法纂類』 (12巻,1261) ,『日用算法』 (2巻,62) と,一般に『楊輝算法』と総称される後期の3書とである。『詳解九章算法』では開三乗方,すなわち4次のべき根を求めている。彼の算書には,九帰,堆だ (たいだ) ,翦管 (せんかん) ,演段,釈鎖,増乗開方,縦横図など数学上の新語がみられ,宋代に一新した数学の有様を反映している。

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世界大百科事典(旧版)内の楊輝の言及

【魔方陣】より

…16世紀になってドイツ,フランスで方陣の研究が起こり,1900年前後にアメリカで盛んになった。中国には楊輝の研究がある。楊輝の著書は南宋の1274‐75年に完成したが,明の時代になって1378年《楊輝算法》として出版された。…

※「楊輝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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