楊輝算法(読み)ようきさんぽう(英語表記)Yáng huī suàn fǎ

改訂新版 世界大百科事典 「楊輝算法」の意味・わかりやすい解説

楊輝算法 (ようきさんぽう)
Yáng huī suàn fǎ

中国において,13世紀後半の南宋の時代に活躍した数学者楊輝著述で,《田畝比類乗除捷法》2巻,《乗除通変算宝》3巻,《続古摘奇算法》2巻より成る。とくに《続古摘奇算法》には多種類の方陣が紹介されており,日本でも江戸時代関孝和はこの書について方陣を研究した。なお楊輝には《詳解九章算法》《日用算法》などの著述が現存する。いずれも元・明時代に盛んとなった庶民数学に影響を及ぼした。
魔方陣
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楊輝算法」の意味・わかりやすい解説

楊輝算法
ようきさんぽう
Yang Hui suan-fa

楊輝の後期の数学書の総称。この名でまとめられるのは,『乗除通変算宝』 (「算法通変本末」「乗除通変算宝」「法算取用本末」の3巻。最後の巻は史仲栄との合撰。 1274) ,『田畝比類乗除捷法』 (2巻,75) ,『続古摘奇算法』 (2巻,75) である。『田畝比類乗除捷法』では劉益の『議古根源』によってホーナーの方法と似た計算法を述べ,数字方程式に関する先人の研究を紹介し,また級数求和法の問題をだ積 (だせき) 術の名のもとに研究した。『続古摘奇算法』には,河図洛書の図をはじめ,4次の方陣「花十六図」,10次の「百子図」,また円形に配列された方陣 magic circleなど多くの方陣が取扱われ,翦管 (せんかん) 術という名称で1次合同式を論じている。関孝和が方陣とともにこの種の不定方程式を知ったのは『楊輝算法』からであった。

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世界大百科事典(旧版)内の楊輝算法の言及

【魔方陣】より

…中国には楊輝の研究がある。楊輝の著書は南宋の1274‐75年に完成したが,明の時代になって1378年《楊輝算法》として出版された。このなかの2巻が〈続古摘奇算法〉で方陣が含まれ,十方陣まで説明もなく並べてある。…

※「楊輝算法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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