榺・千切(読み)ちきり

精選版 日本国語大辞典 「榺・千切」の意味・読み・例文・類語

ちきり【榺・千切】

〘名〙
① 機(はた)の部品の一つ。中央が細くくびれた棒状のもので、経(たていと)を巻き取るのに用いる。おまき。輪鼓(りゅうご)
※新撰字鏡(898‐901頃)「機 知支利」
② 糸巻などのように胴のくびれた形。①のに似た形。
譬喩尽(1786)二「千切(チキリ)を入る如此物也。立鼓も同じ、
馬術で、8の字形に乗り回すこと。輪鼓(りゅうご)
※富本・年朝嘉例寿(長生)(1749)「手綱かい繰りしっとんとん、立鼓ちきりを乗廻し」
④ 歌舞伎の脚本に用いる記号の一つ。形に記されるもの。役名を必要とせず、俳優の名前も予定されていない、仕出しの役のせりふの頭に記されるもの。
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三「『いや又、近年の暑さ。此銚子では涼みが冬迄続かふも知れぬ』」
⑤ 紋所もしくは模様の名。①を図案化したもの。紋所としては、榺、四方榺などの種類がある。
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)上「ちきりむらごうの御こそでとりいだし」
⑥ 「ちきりじめ(榺締)」の略。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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