櫛笥(読み)くしげ

精選版 日本国語大辞典 「櫛笥」の意味・読み・例文・類語

くし‐げ【櫛笥】

〘名〙 櫛や化粧の道具を入れておく箱。くしばこ。
書紀(720)崇神一〇年九月(北野本南北朝期訓)「吾(あれ)明旦(くるつあした)に汝(いまし)か櫛笥(クシケ)に入(い)りて而て居(い)む」
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「この君を、許多(ここら)親が時の財(たから)、くしげの何々も、惜しき物なく失ひ」
[語誌]「け(笥)」は容器の意。「万葉集」には「くしげ」とともに「玉」を冠した「たまくしげ」が見られるが、平安時代には「くしげ」は「宇津保物語」のような漢文脈でしか見られなくなり、和歌では「たまくしげ」、仮名文では「くしのはこ」「みくしのはこ」、漢文日記では「くしばこ」が用いられる。

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デジタル大辞泉 「櫛笥」の意味・読み・例文・類語

くし‐げ【××笥】

櫛や化粧道具を入れておく箱。くしばこ。

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世界大百科事典(旧版)内の櫛笥の言及

【合子】より

…その一つで琴や琵琶の絃を納めた合子は銀平脱梳箱(くしげ)とよんでいる。したがって,大物主神が小蛇の姿ではいっていたと《日本書紀》崇神天皇条にいう櫛笥(くしげ)も,合子の一種であったにちがいない。【小林 行雄】。…

※「櫛笥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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