国指定史跡ガイド 「武蔵国府跡」の解説
むさしこくふあと【武蔵国府跡】
東京都府中市宮町にある国府跡。武蔵野台地上、多摩川が形成した崖の縁辺に位置する。大国魂(おおくにたま)神社の境内地と周辺地域の発掘調査の結果、2棟の大型東西棟建物とその西に総柱の南北棟建物3棟が配された、国府域中心部の様相が明らかになった。このうち北の東西棟建物は国庁など、国府の中心的な建物と考えられている。国府域中心部の南、西、北辺には区画溝が検出されていることから、100m2の区画をなしていたと考えられる。造営時期は8世紀前半ごろで、8世紀中ごろに掘立柱から礎石建ちに改修され、10世紀末には機能を失っていたと推定される。出土遺物としては、瓦や磚(せん)に武蔵国21郡中の19郡の郡名をヘラ書き、刻印、墨書(ぼくしょ)で記しているものがみられ、古代武蔵国の政治情勢を示すうえでも貴重である。2009年(平成21)に国の史跡に指定された。JR武蔵野線ほか府中本町駅から徒歩約5分。