母家(読み)おもや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「母家」の意味・わかりやすい解説

母家
おもや

母屋とも書くが、これは小屋組みのモヤと混同するので、建築用語としては母家または主屋と書かれる。古く寝殿造邸宅では、まず身屋(もや)、身舎(もや)と称する主要部分があり、その周囲に廂(ひさし)とか入り側(かわ)が付設される。つまり、家の主要な部分がモヤであった。それとオモヤとが混同し、屋敷内の多くの付属家に対し、主として家族の起居する建物をオモヤとよぶようになった。したがって地方によってはオリヤ、オンヤともよぶ。そのことから、分家に対する本家(ほんけ)をもオオヤとよび、名子(なご)の家に対する親方の家をホンケとかオオヤと称するようになった。貸し家店子(たなこ)が家の持ち主をオオヤサンというのも同義語と解してよい。この場合オモヤという語は使わないようである。

 なお隠居家のある場合は、一般にオモヤのほうが大きいが、その逆のこともある。それは、隠居する場合、跡取りだけを残して、他の家族を連れて隠居するという風習のある地方にみられる。

[竹内芳太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む