江戸時代の借家人。関西では借屋人とよんだ。借家を借りることを店借(たながり)といい、また借り手を店借とも称した。家を借りるときは身元(みもと)保証人として店請(たなうけ)人が必要であったが、適当な保証人のないときは、江戸では家守(やもり)(大屋(おおや))自身が店請人となることがあった。店子は町費を負担しなかったため町政への発言は弱く、公式の書類には「何町誰店某」と、かならず家守の名を肩書に付した。名主や家守の同意がなければ訴訟を起こすことはできず、したがって店子は厳密には一人前の町人とはいえない。店賃をはじめ家守はなにかにつけて店子に関与することが多く、長屋などの店子は連帯感や相互扶助の観念が強かった。
[南 和男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(1)主人不在の家屋敷の多くが都市民衆層に地借(じがり),店借(たながり)として賃貸され,その結果,家守はこれらの零細な地借,店借から地代,店賃(たなちん)を取り立て,併せて,支配の末端として地借・店借層の統制にあたる役割を担うに至ったこと。このような意味で,家守は不在の主人の代替者=家主として,家屋敷の居住者=店子(たなこ)を支配する擬制的な家長としての位置にいた。(2)都市行政の基礎単位である町の事務が複雑かつ高度化し,町の運営に従事する専門家として,家守の役割が重要になったこと。…
※「店子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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