母様・嚊様(読み)かかさん

精選版 日本国語大辞典 「母様・嚊様」の意味・読み・例文・類語

かか‐さん【母様・嚊様】

〘名〙
① (「かかさま(母様)」の変化した語) 子が母親を敬い親しんで呼ぶ語。もと上方(かみがた)の中流以下の者の用語
浄瑠璃・傾城阿波の鳴門(1768)八「父様(ととさん)や母様(カカサン)と、一所に順礼さんすのか」
娼家茶屋、舟宿などの女房を客が親しんで呼ぶ語。
洒落本甲駅新話(1775)「かかさん上手も久しいものさ」

かか‐さま【母様・嚊様】

〘名〙 (「さま」は接尾語)
① 母を敬って呼ぶ語。
※虎明本狂言・岡太夫(室町末‐近世初)「いんでととさまかかさまにいはふぞよ」
他人の妻を敬って呼ぶ語。
[語誌]「かか(母)」は、中世末にはカカサマや、さらにオカカサマの形で用いられるようになる。一八世紀頃には、カカサマ、オカカサマは、それぞれ、中流階層、中流以上の階層において用いられていたが、一九世紀に入った頃から、オカカサマすら、下層階級でも使われるようになった。

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