化学辞典 第2版 「気体膜」の解説
気体膜
キタイマク
gaseous film
水面上につくった単分子膜1分子当たりの表面積Aと表面圧Fとの間に,近似的に
FA = nkT
で表されるような関係が成立する場合がある.ここに,kはボルツマン定数,Tは絶対温度であって,上式は三次元の気体法則に相当するもので,このような分子膜を二次元的気体膜という.炭素数14~16の脂肪酸でAが大きく(500 nm2)Fが小さい(10-6 N cm-1 以下)場合などに認められる.これは水面上で脂肪酸分子が熱運動をしていることを示すものと考えられる.界面活性剤の分子は電離基をもっているために可溶性を示すとともに,イオン間の反発力が強くはたらくので,水面で気体膜になりやすく,かつ,FAの値が比較的大きくなる傾向がある.タンパク質のような高分子も単分子膜をつくらせることが可能で,このとき,本来球状をしているタンパク分子が膜状に広げられる結果として不溶性となる.この膜も表面圧の小さい条件(0~10-5 N cm-1)で気体膜となるので,FA-表面濃度曲線をF→0に外挿して,分子量を求めることができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報