水産博覧会(読み)すいさんはくらんかい

改訂新版 世界大百科事典 「水産博覧会」の意味・わかりやすい解説

水産博覧会 (すいさんはくらんかい)

明治期における水産振興策の一つ。第1回水産博覧会は1883年(明治16)3月から6月に及ぶ100日間,東京上野公園内で開催された。全国からの出品総数1万4581点,天皇も行幸し,来覧者23万人という盛大なものであった。この博覧会の目的は漁業技術発展の地域差の実態を把握し,先進地域の優良技術を広く掘り起こし,それを他地域に普及させることにあった。また水産製造部門では,たんに製造技術の開発指導事業にとどまらず,水産製造物の市場開拓という面でも直接役だったであろう。漁業者から一方で学びつつ,同時に指導できる水産博覧会は,まだ微力で模索過程を始めたばかりの水産行政当局に最もふさわしく有効な技術振興策であった。第2回水産博覧会は1897年神戸市で開催され,その規模前回を上まわり出品総数4万2247点に及んだ。
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