規模(読み)キボ

デジタル大辞泉 「規模」の意味・読み・例文・類語

き‐ぼ【規模】

物事構造・内容・仕組みなどの大きさ。「雄大な規模構想」「地球規模の環境汚染」
手本模範
「国家の御宝、末代の―なり」〈盛衰記・二六〉
かなめ眼目
「松が咲きけりといふ言葉、この松が崎の能に―なれば」〈申楽談儀
名誉。面目
氏族の―とする職なれば」〈太平記・一〇〉
甲斐かい。ききめ。成果。
勘当ゆるされねば、伝授しても―がない」〈浄・手習鑑
報い。代償
「その代はり、十分おもいれお骨折りの―はしやす」〈人・梅美婦禰〉
根拠。証拠。
大名の家に宝なくて家督継ぎ目は何を以て―とする」〈浄・苅萱桑門
[類語]スケール

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「規模」の意味・読み・例文・類語

き‐ぼ【規模・規&JISEAF6;】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「規」は、円形をかく道具、コンパスのこと。「模」は、物の型のこと )
  2. 物の構え。結構。しくみ。また、全体の計画。企画。構想。きも。
    1. [初出の実例]「憲章法則、規摹弘遠、夐古以来、未之有也」(出典:懐風藻(751)序)
    2. 「またその近隣に至るまで、この工事を移し、規模(〈注〉ガカイ)悉く広大なり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二)
    3. [その他の文献]〔漢書‐高帝紀・下〕
  3. 正しい例。模範。手本。法則。規範
    1. [初出の実例]「当朝以保憲陰陽基摸、何以彼抄為謬説乎」(出典:左経記‐長元五年(1032)五月四日)
    2. 「累代の公物(くもつ)古弊をもちて規模とす。たやすくあらためられがたきよし」(出典:徒然草(1331頃)九九)
    3. [その他の文献]〔張衡‐帰田賦〕
  4. ( 他への手本、模範となるところから ) ほまれ。名誉。ほこり。てがら。面目。
    1. [初出の実例]「多年の所望、氏族の規摸(キボ)とする職なれば、今は冥途の思出にもなれかしと」(出典:太平記(14C後)一〇)
    2. 「コレ ワガ イエノ qibonari(キボナリ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  5. 眼目。重要な点。
    1. [初出の実例]「松が崎の能に、松が咲きけりと云言葉、此松が崎の能にきほなれば」(出典:申楽談儀(1430)能書く様、その三)
  6. 面子(めんつ)。めんもく。多く「きぼが立つ」の形で用いられる。
    1. [初出の実例]「父の苗字を賜はれば、勘助が身の規模は立つ」(出典:浄瑠璃・本朝二十四孝(1766)三)
  7. ききめ。甲斐(かい)。効果。多く「きぼがある(ない)」の形で用いる。
    1. [初出の実例]「ソレガシ コレマデ サンジタ qibomo(キボモ) ナイ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 「それでおれも口をきいた規模(キボ)がある」(出典:歌舞伎・𢅻雑石尊贐(1823)序幕)
  8. 報い。代償。また、返礼。
    1. [初出の実例]「世帯道具の二人が温袍(どてら)、身ぐるみ出して丸裸、一切おれに渡したら、それを規模(キボ)に済ませてやらうワ」(出典:歌舞伎・桜姫東文章(1817)五幕)
  9. 根拠。証拠。よりどころとなるもの。
    1. [初出の実例]「是ぞといふて家内へ見せる慥な証拠を下されかし、それを規模(キホ)に立帰り」(出典:洒落本・当世気どり草(1773)瀬川菊の露)

規模の語誌

元来、漢語ではのように、結構や仕組み、また、模範や規範の意味を持つ語であったが、日本では中世に「他への手本」の意味から、の意を派生し、近世になると文脈に応じてさまざまな意味で用いられたが、現代ではもっぱら原義の「結構・仕組み」の意味で用いられる。


き‐も【規模】

  1. 〘 名詞 〙きぼ(規模)〔黒本本節用集(室町)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「規模」の読み・字形・画数・意味

【規模】きぼ

ぶんまわしと、かた。構造。手本。気概。〔三国志、魏、胡質伝〕(質)規大略はばざるも、良綜事に至りては之れにぐ。

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