泣子なす(読み)なくこなす

精選版 日本国語大辞典 「泣子なす」の意味・読み・例文・類語

なくこ‐なす【泣子なす】

泣いている子どものように、の意で次の諸語にかかる。
① 「慕(した)ふ」にかかる。
万葉(8C後)三・四六〇「つれもなき 佐保山辺に 哭児成(なくこなす) 慕ひ来まして」
② 「ねのみし泣く」にかかる。
※万葉(8C後)一五・三六二七「玉の浦に 船をとどめて 浜びより 浦磯を見つつ 奈久古奈須(ナクコナス) ねのみし泣かゆ」
③ 「言(こと)だに問はず」にかかる。
※万葉(8C後)一三・三三三六「思ほしき 言伝てむやと 家問へば 家をも告らず 名を問へど 名だにも告らず 哭児如(なくこなす) 言だに問はず」
④ 「取り探る」にかかる。
※万葉(8C後)一三・三三〇二「深海松(ふかみる)の 深めし子らを 縄海苔の 引けば絶ゆとや 里人の 行きのつどひに 鳴児成(なくこなす)(ゆき)取りさぐり」
[補注]比喩の副詞句として、枕詞とはみない説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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