四訂版 病院で受ける検査がわかる本 の解説
活性化部分トロンボプラスチン時間
基準値
30~40秒±5秒
内因系凝固系は異物面との接触により動き出す凝固系で、血友病ではこの内因系凝固因子が異常のため、活性化部分トロンボプラスチン時間は長くなります。
内因系の凝固因子の異常を調べる検査
トロンボプラスチンとは血液凝固の第Ⅲ因子(→参照)で、第Ⅶ因子とカルシウムイオンとで複合体をつくって第X因子を活性化し、血液を凝固していきます。トロンボプラスチンには、完全トロンボプラスチンと部分トロンボプラスチンがあります。
正常な
前項のプロトロンビン時間(→参照)が外因系(血管外因子を含めた凝固因子)の凝固異常を調べるのに対し、部分トロンボプラスチン時間は内因系(血漿中に存在する凝固因子)の凝固異常を調べる検査です。
血友病で延長
内因系の異常がおこる病気として、第一にあげられるのが血友病です。血友病は、遺伝的に第Ⅷ因子あるいはⅨ因子が欠乏しているためにおこる病気で、そのため血液凝固の時間が延長することになります。
近年は、活性化部分トロンボプラスチン時間を測定
内因系の凝固因子が働き出すためには、第XII因子が活性化することが必要で、これにはカオリン、ケファリンという物質が関与しています。
そこで近年では、部分トロンボプラスチン時間の測定には、これらの物質を加えた試薬で検査することが多くなりました。この測定法を、活性化部分トロンボプラスチン時間といい、この方法では部分トロンボプラスチン時間と比べて10~20秒、速く凝固します。
延長していたら再検査
採血方法や血漿のとり扱い方などによって測定値が変動するため、基準値より延長していたら、採血方法をかえたり、同一検体で再検査します。
活性化部分トロンボプラスチン時間が著しく延長するのは、圧倒的に血友病の場合が多く、筋肉・関節内を中心に多彩な出血症状をおこすため、過激な運動は避け、出血時には欠乏因子を補給します。
■基本的な止血検査法
疑われるおもな病気などは
◆延長→血友病A(第Ⅷ因子欠乏症)、血友病B(第Ⅸ因子欠乏症)、血液凝固因子欠乏(Ⅱ、Ⅴ、Ⅹ、XI、XII)、肝細胞障害(肝硬変、肝臓がん)、薬剤(ワーファリン、ヘパリン)の影響、播種性血管内凝固症候群(DIC)、ループスアンチコアグラントなど
医師が使う一般用語
「エーピーティーティー」=activated partial thromboplastin time(活性化部分トロンボプラスチン時間)の略APTTから
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報