化学辞典 第2版 「活性水素定量法」の解説
活性水素定量法
カッセイスイソテイリョウホウ
quantitative analysis of active hydrogen
有機化合物中の酸素,窒素,硫黄などに結合している活性水素原子の定量法.1907年,T. Zerewitinoffが活性水素(active hydrogen)と名づけた,-OH,-COOH,-NH2,-SH,-C=CH,-CO-CH3基などに含まれる活性水素の測定法には,次の2種類がある.
(1)グリニャール試薬法:ヨウ化メチルマグネシウムは活性水素と反応して定量的にメタンを発生する.
ROH + CH3MgI → CH4 + ROMgI
RNH2 + 2CH3MgI → 2CH4 + RN(MgI)2
この反応は閉鎖系で行い,メタンの生成による体積変化,または圧力変化を測定して活性水素の量を求める.
(2)水素化アルミニウムリチウム法:水素化アルミニウムリチウムは活性水素と反応して1 mol の水素を発生する.
4ROH+LiAlH4 → 4H2 + LiOR + Al(OR)3
水素化アルミニウムリチウムは活性水素のほかに,種々の還元性の基と反応を起こすが,水素は発生しない.ただし,ニトロ基は水素ガスを発生するので分析誤差の原因になる.
2RNO2 + 2LiAlH4 → 4H2 + R-N=N-R + 2LiAlO2
発生した水素はガスビュレットまたは検圧法によって測定し,活性水素量を算出する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報