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窒素 ちっそnitrogen

翻訳|nitrogen

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

窒素
ちっそ
nitrogen

元素記号N,原子番号7,原子量 14.00674。周期表 15族,窒素族元素の1つ。空気の約 78%を占める。地殻中の存在量は 20ppm。海水中には 0.5 μg/l 含まれるが,硝酸,亜硝酸,アンモニウム塩,有機化合物などにいろいろの形態で存在する。工業的には液体空気の分留によって製造される。単体は二原子分子 N2 で,無色,無臭の気体。融点-209.86℃,沸点-195.82℃。液体は無色透明で流動性が大きい。 (→液体窒素 ) 臨界温度-147.13℃,臨界圧 33.49気圧。水に対しては酸素より溶けにくい。室温では不活性で燃焼に関与しない。高温では多くの元素と直接反応する。アンモニア合成用原料として重要で,窒素肥料,その他の化合物の合成にも用いられ,寒剤としても使用される。発見は比較的新しく,1772年 K.W.シェーレによってその存在が認められた。

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百科事典マイペディアの解説

窒素【ちっそ】

元素記号はN。原子番号7,原子量14.00643〜14.00728。融点−209.86℃,沸点−195.8℃。非金属元素の一つ。単体は2原子分子N2で,無色,無臭の気体。
→関連項目石灰窒素

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栄養・生化学辞典の解説

窒素

 原子番号7,原子量14.00674,元素記号N,15族(旧Va族)の元素.生体の重要元素.空気中に78%含まれる.

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世界大百科事典 第2版の解説

ちっそ【窒素 nitrogen】

周期表元素記号=N 原子番号=7原子量=14.0067地殻中の存在度=20ppm(31位)安定核種存在比 14N=99.635%,15N=0.365%融点=-209.86℃ 沸点=-195.8℃気体の密度=1.2507g/l(-1℃,1気圧)液体の比重=0.81(-196℃)固体の比重=1.026(-252℃)臨界温度=-147.0℃ 臨界圧=33.5気圧水に対する溶解度=2.31ml/100ml(0℃),1.52ml/100ml(20℃),0.95ml/100ml(100℃)電子配置=[He]2s22p3おもな酸化数=-III,III,V周期表第VB族に属する窒素族元素の一つ。

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大辞林 第三版の解説

ちっそ【窒素】

15 族(窒素族)元素の一。元素記号 N  原子番号7。原子量14.01。体積で空気の約5分の4を占める。無色・無味・無臭で、水に溶けにくく、常温では不活性。高温で多くの元素と反応するのでアンモニア合成などの原料とする。また、液体窒素は沸点摂氏マイナス196度なので、冷却剤として用いられる。天然にはアンモニウム塩・硝酸塩として広く存在し、有機化合物、特にタンパク質の重要な成分。 〔オランダ語 stikstof の訳語。「遠西医方名物考」(1834年)にある〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

窒素
ちっそ
nitrogen

周期表第15族に属し、窒素族元素の一つ。[守永健一・中原勝儼]

歴史

古くから元素と考えられていた空気が、元素ではないということが明らかにされてきた18世紀、イギリスのD・ラザフォードは1772年、木炭やろうそくを瓶の中で燃やしたとき固定空気(二酸化炭素)ができること、これを除いても、なおあとに気体が残り、この気体が空気と違って燃焼を支持しないことを知り、有毒気体noxious airとよび、フロギストンの飽和した気体であるとした。1789年フランスのラボアジエは、フロギストンを否定するとともに空気から酸素を除いた気体の中では呼吸ができないことから、否定を意味するaと、生命を保持することを意味するzotikosとによってazoteとした。そのドイツ語訳がstickstoff(息が詰まる物質)である。日本語の窒素は文字どおりの意味(窒息)に基づいている。同じころフランスのシャプタルJean Antonie Chaptal(1756―1832)は、カ性カリの存在下、この気体と酸素を火花によって反応させると硝石の原料が得られることから、硝石を意味するラテン語nitrumと、生じるを意味するギリシア語gennaoとによってnitrogneという名称を提案しており、これから英語のnitrogenという語が生じた。[守永健一・中原勝儼]

存在

宇宙では五番目に多い元素で、恒星のエネルギーサイクルに含まれる。宇宙空間にもN2、NH、CN、NO、NH3などの分子の存在が示されている。地球大気中の成分としてはもっとも多く、体積で約78.1%、重量では約75.5%に達する。ほかに微量のアンモニア、アンモニウム塩、さらに空中放電や自動車の排気ガスなどによって生じた窒素酸化物と硝酸塩が大気に含まれている。土壌にも1%足らず、主として硝酸塩として存在する。窒素は生物にとって必須(ひっす)の元素であり、動植物中には平均して約16%、海水にも微量の窒素が含まれている。自然界における窒素は、空気中の気体窒素をはじめとし、アンモニア、硝酸などからタンパク質、核酸にわたって、構造の簡単なものから複雑なものまで多数の化合物として存在し、生体に深い関係をもって循環している。すなわち、土壌中の簡単な窒素化合物は植物によってタンパク質その他の複雑な化合物となり、動物が植物を摂取することによって動物の構成物質となる。さらに、動植物の死骸(しがい)や排出物のタンパク質は腐敗微生物によって還元され、ふたたび植物体内に吸収される。[守永健一・中原勝儼]

製法

工業的には、空気を液化した液体空気から酸素とともに分留して取り出す方法が広く用いられている。実験室では、亜硝酸アンモニウム濃溶液、または塩化アンモニウムと亜硝酸ナトリウムとの混合物を約70℃に熱する。市販品は液体窒素としてタンクローリーあるいはボンベ入り(ボンベの色はねずみ色)で取り扱われる。純度99.9%で、通常の目的にはそのまま使用できる。
 空気中の窒素を分離、固定し、アンモニア、硝酸をはじめとする各種の窒素化合物をつくる工業を窒素工業という。窒素の鉱物資源としては硝石およびチリ硝石NaNO3が有名であるが、19世紀の終わりごろ空中窒素固定法が発明され、これらの工業的価値は少なくなり、窒素工業は空中窒素固定工業を意味するようになった。[守永健一・中原勝儼]

性質

無色、無味、無臭の気体。沸点は酸素より低く、融点は高い。液体、固体でも無色。つねに二原子分子として存在する。酸素よりもやや水に溶けにくい。結晶は零下238~零下210℃では六方晶系、零下238℃以下では立方晶系で、窒素分子N2がほぼ立方最密充填(じゅうてん)構造をとっている。常温では化学的に不活発である。そのため常温で窒素と直接反応するのは金属リチウム、窒素固定酵素をもつバクテリアや少数の金属錯体だけである。燃焼を支えず、呼吸を助けないが有毒ではない。高温では他の元素と直接化合し、アンモニア、酸化窒素など多くの窒化物をつくる。放電管に窒素を通して放電すると、きわめて反応性の高い窒素が得られ、活性窒素とよんでいる。放電を止めてからも黄色の残光が短時間みられる。これは普通の窒素分子のほかに原子状の窒素が存在し、残光は窒素原子の再結合で生じる窒素分子の励起状態に起因するものである。[守永健一・中原勝儼]

窒素の化合物

窒素は各種の型の化合物をつくり、そのなかでの酸化状態は-から+までのすべてをとるが、共有原子価は3価である。たとえば、酸化数-(アンモニア)、-(ヒドラジン)、-(ヒドロキシルアミン)、+(次亜硝酸)、+(一酸化窒素)、+(亜硝酸)、+(二酸化窒素)、+(硝酸)などがあげられる。アンモニアの水素をアルキル基またはカルボキシ基(カルボキシル基)その他で置換すると、アミン類、アミノ酸など多種多様な含窒素有機化合物が誘導される。金属で置換すると金属アミドから窒化物までが導かれる。酸素との一連の化合物も大気中に含まれ酸性雨や大気汚染の原因となる。空気中の窒素と酸素の反応は温度が高くなると急激に進むようになる。燃料が何であっても、燃焼装置をくふうしても、酸化窒素の生成は避けられない。自動車の排ガス中には、窒素、酸素、水蒸気、二酸化炭素、水素が主成分として存在し、一方、一酸化炭素、一酸化窒素、アルデヒド、ケトン、各種炭化水素、スズ、鉛や炭素の微粒子などが微量成分として含まれている。燃焼に際して発生した一酸化窒素は、紫外線による光化学反応で二酸化窒素に変わり、特定な波長の光を吸収してふたたび解離し、生じた反応活性な酸素によりオゾンを生成するという。このようにして生じたオゾンを主成分とする、二酸化窒素やアルデヒド過酸化物などの酸化性物質の混合物をオキシダントと総称している。窒素化合物間の関係についてはを参照。[守永健一・中原勝儼]

用途

水素と反応させてアンモニアをつくるアンモニア合成にもっとも多く用いられる。アンモニアから硝酸、肥料、染料など多くの窒素化合物がつくられる。窒素が化学的に不活性であることから、鉄鋼などの金属精錬をはじめとして化学工業、食品工業、電子工業などで酸化防止用封入ガス、電球封入ガスなどとして広く、また大量に用いられる。液体窒素は食品の急速冷凍用、土木用凍結剤、低温微粉砕用その他各種の目的に対応して安全な寒剤として広く用いられる。[守永健一・中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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