改訂新版 世界大百科事典 「浮沈分析」の意味・わかりやすい解説
浮沈分析 (ふちんぶんせき)
float-and-sink analysis
石炭や鉱石などの比重選別の可能性を評価するために行われる試験。比重選別の原料となる石炭や鉱石には片刃が存在するため,理想的な比重分離によっても完全な選別結果を達成することはできない。そこで比重選別による選別成績の予測や評価を行うためには分離の可能限界を調べることが必要となる。この分離の可能限界を示すデータを可選性washabilityという。可選性の評価が浮沈分析の目的である。浮沈分析は石炭や鉱石の試料を高比重の液体により分別し,各比重区分ごとの重量割合と品位を調べることによって行われる。石炭の場合にはふつう灰分をもって品位を表す。試験に使われる高比重の液体は重液(重液選別)と呼ばれる。浮沈分析の結果は可選曲線washability curvesと呼ばれる図にまとめて表示される。石炭に対する浮沈試験の手順と可選曲線の描き方は〈JIS M8801石炭類の試験方法〉に規定,解説されている。
執筆者:井上 外志雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報