鉱石(読み)コウセキ(英語表記)ore

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デジタル大辞泉 「鉱石」の意味・読み・例文・類語

こう‐せき〔クワウ‐〕【鉱石】

採掘して採算のとれる有用鉱物。また、その集合体。→脈石みゃくせき
[類語]鉱物金鉱鉄鉱

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精選版 日本国語大辞典 「鉱石」の意味・読み・例文・類語

こう‐せきクヮウ‥【鉱石】

  1. 〘 名詞 〙 有用鉱物を十分多量に含み、採掘・製錬などによって利益を得られる鉱物の集合体。
    1. [初出の実例]「礦金礦石(こうセキ)煤炭の類必ず其間に隠伏する多かるべし」(出典新聞雑誌‐一〇号附録・明治四年(1871)八月)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉱石」の意味・わかりやすい解説

鉱石
こうせき
ore

人間生活にとって有用で、経済的価値をもち、かつ技術的に採掘・生産が可能な鉱物あるいは鉱物の集合体のこと。鉱石は、有用元素を含む鉱物などで構成され、経済的に採掘の対象となる。また、有用元素を含有しない脈石鉱物を含む。脈石鉱物は、鉱化作用の過程で生成されるものがほとんどであるが、鉱体に取り込まれた鉱床母岩も地質学的に脈石とよぶこともある。一般に、鉱床中の鉱石のうち脈石鉱物の含有量のほうが多い。多少の鉱石鉱物を含んでいても経済的価値の低いものを「ずり」とよぶ。鉱石の価値は、品位(重量%、ppmなど)で表される。品位は通常、金、銀はg/t(トン当りのグラム数)、銅、鉛、亜鉛などは%、タングステンなどはWO3%のような酸化物の形で表される。品位の低い鉱石は「貧鉱」とよばれる。「貧鉱」が採掘の対象になるか「ずり」として堆積(たいせき)場に廃棄されるかの境界は、実際の操業においては「最低可採品位(最低採掘品位)cut-off-grade」を設定することにより決められる。鉱石の「最低可採品位」は、有用元素・鉱物の価格、採掘・運搬・選鉱・製錬・人件費など、社会・経済的要因や技術的要因に左右される。また、時代的および地域的(国別)特殊事情などにも大きく依存する。採掘されたままの鉱石を粗鉱、選鉱されて有用元素が濃集し、その含有率が高くなったものを精鉱という。精鉱は製錬されて地金(じがね)となる。

 鉱石は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄などからなる単体や合金、または硫化鉱物、酸化鉱物の金属鉱物を主要構成鉱物とする集合体に対してのみ用いられる用語ではない。石膏(せっこう)、硫黄(いおう)、重晶石、明礬(みょうばん)石、蛍石(ほたるいし)、長石、滑石、石綿、石灰石、ドロマイト(苦灰岩)、花崗(かこう)岩などの非金属鉱物や土石資源用の集合体に対しても鉱石という用語が使用される。鉱石に含まれる有用元素は、硫黄やウランなどの鉱石のように1種類の場合もあるし、金・銀鉱石や銅・鉛・亜鉛鉱石のように同時に2種以上を含むこともある。

 鉱石が採掘される鉱床は、その成因から、マグマ成、熱水成(熱水性)、堆積成、そして変成の四つに大別される。マグマ成鉱床からはクロムニッケル、白金族、鉄、チタン、錫(すず)、タングステン、ニオブタンタル、ダイヤモンドなどが採掘される。熱水成鉱床からは銅、タングステン、モリブデン、錫、蒼鉛(そうえん)、鉛、亜鉛、鉄、金、銀、水銀、ウラン、マンガン、長石、硫黄、重晶石など多様の元素、鉱物が採掘対象になる。堆積成鉱床からは鉄、銅、マンガン、砂金、砂白金、砂クロム、ウラン、石灰石、ニッケル、コバルトなどの鉱石、そして変成鉱床からは銅、マンガン、黒鉛、石綿、滑石、硫化鉄、珪石(けいせき)などの鉱石が採掘される。

[金田博彰]

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改訂新版 世界大百科事典 「鉱石」の意味・わかりやすい解説

鉱石 (こうせき)
ore

有価値の鉱物を含有し,その採掘・処理が経済的に成り立ちうるような岩石をいう。鉱石の中には,採取する価値のある鉱物のほかに,採取する価値のない鉱物が混在している。後者は脈石と呼ばれる。これらの鉱物を選別する操作が選鉱である。鉱石は金属の原料となる金属鉱石と金属以外の工業原料として利用しうる非金属鉱石とに大別される。金属鉱石とは,鉄鉱石,銅鉱石,アルミニウム鉱石,鉛・亜鉛鉱,金・銀鉱,ウラン鉱などである。非金属鉱石としては,石灰石,ドロマイト鉱,ケイ石,粘土鉱,リン酸鉱などのほか,重質油が採取されるオイルサンドなどがある。

 鉱石は種々の型の鉱床から産出する。鉄鉱石には,主要鉄鉱物として磁鉄鉱を含有するもの,赤鉄鉱を主体とするものなどがある。高品位の鉄鉱石は粗砕と簡単な選別によって利用に供されるが,現在の鉄資源の主体となっている低品位の鉄鉱石は微粉砕ののち,磁力選鉱,浮遊選鉱などの方法によって選別され,はじめて鉄鋼原料となる。銅鉱石の多くは主要銅鉱物として黄銅鉱を含有するものであるが,酸化銅鉱物も重要な銅資源である。アルミニウム鉱石の大部分はボーキサイトである。鉱石として採掘・処理されるボーキサイトには,ギブサイト,ベーマイトまたはダイアスポアという水和酸化物の形でアルミニウムが含有されている。鉛と亜鉛は主として硫化鉱物の形で,これらをいっしょに含有する鉱石から生産される。また秋田県北部にみられる黒鉱のように,銅や鉄の硫化鉱物をいっしょに産出する鉱石もある(黒鉱鉱床)。
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百科事典マイペディア 「鉱石」の意味・わかりやすい解説

鉱石【こうせき】

天然の鉱物集合体で有用鉱物を含み,採掘して採算のとれるもの。通常は金属鉱物の鉱石をさし,硫化物,酸化物,硫酸塩などの形で存在する。有用鉱物のほか脈石と呼ばれる不用鉱物を含む。鉱石となし得るか否かは有用鉱物の含量(品位),採鉱選鉱製錬技術,経済情勢などで決まり,昔は投棄されたものを技術の向上などで改めて鉱石とすることもある。→鉱床
→関連項目鉱染鉱床

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岩石学辞典 「鉱石」の解説

鉱石

鉱床から利益をもって採掘精錬できる有用元素または有用鉱物が濃集した岩石.鉱石鉱物と脈石の集合体で,有益なものを抽出するための量を産出するものに限定すべきである.ベートマンはこの語を経済的価値のある非金属鉱床には用いるべきではないとしている[Bateman : 1952].鉱石となるかどうかはその時々の経済的,技術的な条件によって変動する.この語は鉱山で採掘されるものの記述に用いられたもので,アングロ─サクソン語(古英語)でorまたはaraは真鍮.ラテン語系ではaes, aerisは青銅の意味.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉱石」の意味・わかりやすい解説

鉱石
こうせき
ore

鉱床から採掘,製錬される有用の元素あるいは鉱物の集合体で,鉱業の対象になるもの。通常,鉱石とは金属鉱物鉱石をさすが,現在では,石灰岩,石膏,カオリン,長石など非金属鉱石をもさしている。鉱石は一般に有用鉱物のほか,脈石と呼ばれる非金属鉱石など不用鉱物も含まれる。したがって鉱物が鉱石となるか否かは,鉱物中における有用元素,金属の含有量のほか,採鉱,選鉱,製錬などの技術,あるいは経済情勢などによって左右される。

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