煮詰(読み)にえつまる

精選版 日本国語大辞典 「煮詰」の意味・読み・例文・類語

にえ‐つま・る【煮詰】

〘自ラ五(四)〙
① 煮えて水分がなくなる。につまる。
金毘羅(1909)〈森鴎外〉「火鉢に載せてある金盥の、煑え詰まった濁水からは」
② 極限状態になる。きわまる。
※俳諧・千代見草(1692)「煮詰る我身は鍋と口ふたつ」
梅毒などの瘡(かさ)が固まる。
※雑俳・指使編(1851)「煮詰った五郎三・帰国見舞の人絶ぬ」
椀久物語(1899)〈幸田露伴〉六「いよいよ談(はなし)も煮え詰まって来る様子

に‐つ・める【煮詰】

〘他マ下一〙 につ・む 〘他マ下二〙
① 水分がなくなるまで煮る。
※俳諧・遠近集(1666)六「につめてや寒さをこふるこごり鮒〈俊佐〉」
② 凝縮させる。せんじつめる。
行人(1912‐13)〈夏目漱石塵労「人間全体の不安を、〈略〉一刻一分の短時間に煮詰(ニツ)めた恐ろしさを経験してゐる」
③ 十分に検討して、議論考え方を押し進め、結論が出る状態にする。
記念碑(1955)〈堀田善衛〉「煮つまって来た戦争がいろいろのことを煮つめて考えさせた」

に‐つま・る【煮詰】

〘自ラ五(四)〙
① 煮えすぎて水分が蒸発してしまう。
破戒(1906)〈島崎藤村二一「朝は必ず生温い飯に、煮詰った汁と極って居たのが」
② 議論や考えなどが出つくして、結論を出せる状態になる。
検事霧島三郎(1964)〈高木彬光〉七「解決は時間問題というところまで煮つまっているから」
③ 問題や状態などが行きづまってどうにもならなくなる。
※朝霧(1950)〈永井龍男〉「戦争の次第に辛く煮詰って来てゐるのが知られた」

に‐つめ【煮詰】

〘名〙 醤油(しょうゆ)と味醂(みりん)などを合わせて弱火で煮詰めてつくったたれ。鮨種の穴子など、味の淡泊な、一度火を通したものに多く塗る。〔すし通(1930)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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