琉球館(読み)りゅうきゅうかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「琉球館」の意味・わかりやすい解説

琉球館
りゅうきゅうかん

中国、福建省福州と鹿児島に置かれた琉球王国の出先機関。福州琉球館は、琉球専用の滞在施設として中国側の手で設置されたもので、正式名称を柔遠駅(じゅうえんえき)といった。設置の年代は不明だが、15世紀後半にはすでに存在し、1879年(明治12)の琉球処分により王国が廃されるまで活用された。琉球使臣の宿泊所および交易連絡所として用いられ、明(みん)・清(しん)二代にわたる琉球と中国の交流の主要舞台となった。王国崩壊後は、沖縄県設置に反対する旧臣たち(脱清人(だつしんにん))の拠点となった。鹿児島琉球館は、島津侵入事件(1609)後に薩摩(さつま)と琉球の連絡調整機関として設置され、初めは琉球仮屋(かいや)(あるいは琉仮屋)とよばれていたが、1784年(天明4)に琉球館という呼称に改められた。琉球からは在番親方(ざいばんうえーかた)など要員が出張して詰め、薩摩側からも聞役(ききやく)などの担当役人が勤務した。鹿児島県庁のそばにある長田(ながた)中学校のグラウンド一帯がその跡地である。

[高良倉吉]

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