甘利氏(読み)あまりうじ

改訂新版 世界大百科事典 「甘利氏」の意味・わかりやすい解説

甘利氏 (あまりうじ)

甲斐の中世武士。武田氏の庶流。武田信義の子一条次郎忠頼の次男行忠が甲斐国巨摩郡の甘利荘を得て,ここに居を構え甘利氏を称したことに始まる。行忠は源頼朝に捕らえられ1185年(文治1)に処断されたが,彼の子孫は代々甘利荘を伝領し,武田氏の老職を世襲した。一蓮寺過去帳には15世紀後半以後数人の甘利姓の者が見られる。そのうちの1人は1515年(永正12)10月17日に没しており,武田信虎が西郡上野城の大井信達を攻撃したおり戦死したようである。備前守虎泰は信虎に仕えたが,41年(天文10)の晴信自立に力を貸し,48年2月に信州塩田原合戦で討死するまで,板垣信形とともに両職という重職を務めた。その子が左衛門尉昌忠で,64年(永禄7)に31歳で没するまで武田氏の奉行をしていた。また67年の下之郷起請文には甘利郷左衛門尉信康の名が見られ,さらに勝頼の時代には甘利三郎次郎信恒,甘利次郎四郎等の名が知られる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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