奉行(読み)ぶぎょう

  • ぶぎょう ‥ギャウ
  • ぶぎょう〔ギヤウ〕
  • ほうこう ‥カウ
  • ほうこう〔カウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

命令を奉じて事を執行すること。またその担当である奉行人をもいう。奉行には臨時のものと,特定機関の恒常的職員とがあった。鎌倉幕府越訴 (おっそ) 奉行,官途奉行などの類は後者である。安土桃山時代には大老の下に五奉行がおかれ,政治の中枢に参画して行政にあたった。江戸幕府では,初め老中にあたる職を奉行,年寄といったが,職制が整備されると,町奉行勘定奉行寺社奉行その他各種の奉行がおかれて,職務が執行された。諸藩にも各種の奉行がおかれた。

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デジタル大辞泉の解説

[名](スル)
武家時代の職名。それぞれの職掌により政務を担当し執行するもの。鎌倉幕府幕府の職制として各種の奉行を置いたのに始まり、戦国大名も各種の奉行を設け、豊臣氏は五奉行を設置。江戸幕府では寺社・町・勘定三奉行をはじめ、中央・遠国に数十の奉行を設置した。
主君などの命令を奉じて物事を執り行うこと。また、その人。
「庭の儀を―する人」〈徒然・一七七〉
仏語の教えを奉じ、それを行うこと。
[名](スル)命令を受けて執行すること。ぶぎょう。

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百科事典マイペディアの解説

鎌倉幕府以後の武家の職名。鎌倉・室町幕府では各種の奉行が置かれ政務を分掌。豊臣秀吉は五奉行を設置。江戸幕府では老中の支配下に寺社奉行勘定(かんじょう)奉行町奉行を置いた。幕末国際情勢の急迫に伴い,陸軍奉行・海軍奉行・外国奉行などが新設された。
→関連項目遠国奉行

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世界大百科事典 第2版の解説

官制または職制において,上位者の命令を奉じて事にあたること。また転じてその役を務める者を指す。律令時代宮廷儀式の臨時執行者をいうこともあったが,鎌倉時代以後,武家政権の職制のなかでおもに使用された。鎌倉幕府では,問注所,侍所,政所(まんどころ)にそれぞれ奉行が置かれ,その職制はほぼ室町幕府へ引き継がれた。豊臣政権はその末期に,五大老のほか五奉行制をしき,石田三成ら秀吉配下の実務官僚を任じて政務を処理させた。

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大辞林 第三版の解説

スル
上の者の命によって事を執行すること。また、その人。 義経は-をうけ給はつたる身なれば/平家 11
武家時代の職名。政務分掌により公事くじを担当し執行する者。鎌倉幕府が各種の奉行を置いたことに始まり、豊臣氏は五奉行を置いた。江戸幕府では、寺社・町・勘定の三奉行をはじめ、中央・遠国に数十にのぼる奉行を設置した。
仏の教えに従い、それを実践すること。 -する者は、身心の勝安楽なり/十善法語

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

もともと命を奉じて事を執行すること、またその役や人をいう。おもに武家方の職制中にみられる呼称。鎌倉・室町両幕府の役職には大半この称がつき、豊臣(とよとみ)政権の前田玄以(げんい)、浅野長政(ながまさ)、増田長盛(ましたながもり)、石田三成(みつなり)、長束正家(なつかまさいえ)の五奉行は有名。江戸幕府には役方番方ともにその称があった。おもなものを掲げると寺社・町・勘定の三奉行、長崎・京都・大坂・奈良・日光・佐渡そのほか主要の地に置かれた遠国(おんごく)奉行、旗奉行、槍(やり)奉行、幕末に設けられた外国奉行、陸軍奉行、海軍奉行などである。また諸藩にも各種の奉行職のあったことはいうまでもない。ちなみに、奉行の称が付せられた職とそうでない職との間に、かならずしも職掌上、一線を画するようなことがあったわけではなかった。[北原章男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① (━する) 主君などの命を受けて他を指揮し、事を執行すること。政務や行事の執行において、幹事役をつとめること。また、その人。奉行人。ほうこう。
※九条公爵家所蔵延喜式裏文書‐宝亀四年(773)二月八日・太政官符案「奉勅、件人等改本姓、賜安倍猨嶋姓者、省宜承知、准勅施行、符到奉行」
② 武家時代の職名。公事(くじ)(=政務)を担当し執行するもの。鎌倉幕府にはじまり、最初は単に公事奉行人または奉行人と称したが、幕府行政・裁判制度の整備とともに、評定奉行、官途奉行、恩沢奉行、安堵奉行、進物奉行などが制度化された。また、戦国諸大名も各種の奉行を設け、豊臣氏は五奉行と称せられるものも置いた。江戸幕府では寺社・町・勘定の三奉行、作事・普請・小普請の下三奉行をはじめ、中央・遠国に数十にのぼる奉行を設置した。
※吾妻鏡‐文治二年(1186)七月二八日「俊兼為奉行云々」
③ 江戸時代、裁判をつかさどった寺社・町・勘定三奉行のうち、特に、町奉行をさしていう。
※浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)五「夜の明るを待兼、奉行(ブギャウ)へ御訴訟申あぐるに」
④ 特に、江戸幕府初期において、後の老中にあたる年寄を奉行・奉行人と称した。幕府の高札に見える「奉行」はこの意味である。執政。宿老。
※御触書寛保集成‐二・寛文元年(1661)六月一二日「定 一 喧嘩口論令停止之訖、自然有之時至、其場え一切不可出向事。〈略〉奉行」
⑤ 一般に、その任にあたる人。係りの人。多く、「御産奉行」などと熟して用いる。
※増鏡(1368‐76頃)八「女房の衣など、こちたきまで押し出だせば、ぶ行とりて」
⑥ (━する) 仏語。仏の教えを奉じ、それを実践すること。
※万葉(8C後)五・沈痾自哀文「曾無作悪之心諸悪莫作諸善奉行之教也」 〔増一阿含経‐一〕
〘名〙 旨を奉じて行なうこと。命令を受けて執行すること。ぶぎょう。
※開化本論(1879)〈吉岡徳明〉上「全世界に公にすべき大綱に至ては、万国通貫して之を奉行せしめざるを得ず」 〔漢書‐魏相伝〕

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

鎌倉〜江戸時代の武家の職名。元来は上司の命令を奉じて事を執行すること,転じてその担当者をいう
①平安時代,宮廷の儀式などに際し臨時に定められた役。
②鎌倉幕府が臨時または常置して政務を分掌させた職名。鎮西奉行など。
③安土桃山時代,豊臣政権の政務担当者(五奉行)。
④江戸幕府の職制。三奉行(寺社・勘定・町)・遠国奉行などがある。

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世界大百科事典内の奉行の言及

【院宣】より

…これに対し13世紀半ばにはじまる後嵯峨院政ころ以降の院宣は,従来の官符,官牒,官宣旨等にかわり,直接所領の寄進・安堵,相論裁許,国家租税の徴収・停止等の政務までを決裁するようになる。また奉者も院司の立場を超えた政務機関としての奉行がこれにあたった。奉行は政務を執る上皇が任意に任命し,上皇の政務を分担して奏聞・執行したが,奉行の奏事を上皇に取り次ぎ,上皇の仰を奉行に伝えるのは,伝奏である。…

【伝奏】より

…伝奏には,実務に精通した能吏の者が院宣によって補任されたが,傾向として弁官や職事を経験した公卿や蔵人頭のうちから選ばれることが多かった。伝奏の下で,政務を分担し,訴訟の受付け,政断の執行にあたったのが奉行であるが,伝奏は奉行の奏事を院に取り次ぎ,また院の意志を奉行に伝えて執行させるのがその役目である。政務の執行は,奉行の奉ずる院宣によって行われるが,所領,所職の与奪,安堵にかかる重事などは,伝奏自身が奉行を兼ね院宣を奉じた。…

※「奉行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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