武田信義(読み)たけだのぶよし

改訂新版 世界大百科事典 「武田信義」の意味・わかりやすい解説

武田信義 (たけだのぶよし)
生没年:1128-86(大治3-文治2)

平安末期・鎌倉初期の武将清光の子,一条忠頼の父。1180年(治承4)以仁王令旨に応じて甲斐挙兵甲斐源氏の中心となり駿河に進出。富士川の戦で平維盛を敗走させ,源頼朝から駿河の守護に補任され,重用される。しかし,81年(養和1)後白河法皇が頼朝追討の下文を与えたとの疑いにより地位が低下。84年(元暦1)子の忠頼が頼朝に謀殺され,失意の中で死去
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「武田信義」の解説

武田信義

没年文治2.3.9(1186.3.31)
生年大治3.8.15(1128.9.11)
平安末・鎌倉初期の武将。甲斐国(山梨県)の住人。甲斐源氏源清光の子。治承4(1180)年,以仁王令旨に応じて挙兵。信濃国の平家余党を制圧したのち,源頼朝の要請に応えて駿河国に出陣。富士川の戦では夜襲を仕掛けて平家軍を敗走させた。この直後,頼朝より駿河国の守護に任ぜられた。しかし甲斐源氏の勢威を警戒する頼朝は,養和1(1181)年には信義叛意の有無を糾問,元暦1(1184)年には信義の嫡子一条忠頼を誅殺した。このとき,信義も頼朝の勘気を蒙り,失意のうちに一生を終えた。

(三田武繁)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「武田信義」の解説

武田信義
たけだのぶよし

1128.8.15~86.3.9

平安末~鎌倉初期の武将。甲斐国巨摩郡武田に住む。甲斐源氏源清光の子。1180年(治承4)以仁王(もちひとおう)の令旨(りょうじ)に応じて挙兵。富士川の戦では夜襲をしかけ平家軍を敗走させた。合戦後,源頼朝から駿河国守護に任じられる。しかし甲斐源氏勢力の抑圧をはかる頼朝に,84年(元暦元)嫡子一条忠頼を殺され,みずからも頼朝の勘気をこうむり,失意のうちに死んだ。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「武田信義」の解説

武田信義 たけだ-のぶよし

1128-1186 平安時代後期の武将。
大治(だいじ)3年8月15日生まれ。逸見(源)清光の子。治承(じしょう)4年甲斐(かい)源氏をひきいて挙兵。富士川の戦いで平氏軍を敗走させ源頼朝から駿河(するが)(静岡県)守護に任じられた。頼朝に謀反をうたがわれ,子の一条忠頼は謀殺された。文治(ぶんじ)2年3月9日死去。59歳。幼名は竜光丸。通称は太郎。

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367日誕生日大事典 「武田信義」の解説

武田信義 (たけだのぶよし)

生年月日:1128年8月15日
平安時代後期の武将
1186年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の武田信義の言及

【甲斐国】より

…旧国名。甲州。東海道に属する上国(《延喜式》)。現在の山梨県。
【古代】
 古墳時代の甲斐は,前期には曾根丘陵地帯に銚子塚古墳(中道町)などいくつかの前方後円墳が出現し,後期には分布地域が広がり,姥塚(うばづか)(御坂町),加牟那塚(甲府市)など巨大な横穴式石室を持つ円墳も現れた。これら古墳の築造者で,この地の支配者であった甲斐国造(くにのみやつこ)が,大和の政権に貢上した馬は,“甲斐の黒駒”と呼ばれて名高く,その伝統は平安時代に駒牽(こまびき)の行事となった。…

【駿河国】より

…以後,駿河武士団の形成は急速に進行した。【原 秀三郎】
【中世】

[鎌倉・室町時代]
 源頼朝は1180年(治承4)8月に伊豆で挙兵,10月には富士川の戦で平氏軍を破り,駿河守護に武田信義を補任して,みずからは鎌倉に入った。その4年後に信義の子一条忠頼が謀反の嫌疑で殺害された際,信義は守護を解任されたと考えられる。…

【富士川の戦】より

…平維盛を総大将とする平氏の遠征軍は,1180年(治承4)10月18日富士川西岸に布陣した。しかし駿河,遠江の現地平氏方勢力は直前の14日,駿河目代橘遠茂(たちばなのとおもち)に率いられ,富士山西麓の鉢田(はちだ)で武田信義,安田義定以下甲斐源氏の軍勢と会戦,壊滅していた。もともと兵力,軍粮に不安のあった中央平氏軍の戦意は萎縮するばかりであった。…

※「武田信義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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