日本大百科全書(ニッポニカ) 「生体用ガラス」の意味・わかりやすい解説
生体用ガラス
せいたいようがらす
glass biomaterial
骨充填(じゅうてん)材や人工歯根として用いられるガラスで、体内に入れても毒性、発癌(がん)性がなく、生体親和性に優れ、体内で長期にわたって劣化しないなどの特性を有する。よく知られている生体用ガラスは、Na2O、CaOおよびSiO2を主成分とし、P2O5を少量含んだバイオグラスである。このガラスは、生体活性ガラスともいわれ生体内でCaO-P2O5からなるアパタイト層を形成し、周囲の骨や軟組織と自然に結合すると考えられている。機械的強度不足を補うために、ガラス中に結晶相を析出させ、骨と同等以上の強度を有した結晶化ガラスや、生体親和性に優れたアルミナ、ジルコニア、カーボンなどのセラミックスや、ステンレス鋼やチタン(Ti)などの金属と複合化させた生体材料が開発されている。
[伊藤節郎]