セラミックス(読み)せらみっくす(英語表記)ceramics

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セラミックス」の意味・わかりやすい解説

セラミックス
せらみっくす
ceramics

一般には窯業製品をいうが、今日ではもっと広く、粘土の使用に関係するすべての工業その他、およびそれらから派生する製品をすべて包含している。ギリシア語のkera(成形性を与えるための蝋(ろう))、keras(角(つの))、keramos(酒を入れる角またはコップ)、keramion(土製の容器)、kerameia(陶芸)に由来する語である。

[素木洋一]

セラミックスの定義

現在用いられているセラミックスに対して、各国がそれぞれ独自の定義を定めているが、イギリスおよびヨーロッパ諸国では、「まず成形され、次に熱によって硬化された無機物質からなる製品」が基本になっており、したがって陶磁器耐火物に限られる。これに対しアメリカのセラミック学会では「無機、非金属物質を原料とした製造に関する技術および芸術で、製造あるいは使用中に高温度(約540℃以上)を受ける製品と材料」と定義しており、日本ではこの定義に従っている。ここでは陶磁器と耐火物、セメント、ガラス、ほうろう合成宝石などが包含される。

[素木洋一]

セラミックスの成形・焼結

セラミックスは、まず成形してから焼結させなければならない。用途によって種々の形状が要求され、さらに成形方法によっても、得られた焼結体は性質にかなりの相違が出てくる。

[素木洋一]

セラミックスの種類と用途

狭義のセラミックスは、天然の原料をほとんどそのまま使用してつくられた、粗で多孔質の製品から、原料を精製し調合してつくられた緻密(ちみつ)で精細な製品へと進歩してきた。そのためヨーロッパやアメリカでは、前者をコース・セラミックスcoarse ceramics(粗セラミックス)、後者ファイン・セラミックスfine ceramics(精セラミックス)と大別している。コース・セラミックスは重量があるので、ヘビー・セラミックスheavy ceramicsという場合も多い。

 セラミック製品は種類がきわめて多い。なお、天然原料を主体に用いた従来のセラミックスを伝統セラミックスtraditional ceramicsといい、粘土を用いないものを非粘土セラミックスnon-clay ceramics、粘土や酸化物を含まないファイン・セラミックスを非酸化物セラミックスnon-oxide ceramicsという。これら素地出現と同時にその物性が解明され、さらにそれに見合った用途が明らかにされてテクニカル・セラミックスtechnical ceramics(産業用品)が多く製造されるようになった。

[素木洋一]

『素木洋一著『ファインセラミックス』(1976・技報堂出版)』『素木洋一著『入門 ファインセラミックス製造技術』(1984・技報堂出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セラミックス」の意味・わかりやすい解説

セラミックス
ceramics

窯業で生産される製品の総称。たとえば陶磁器,ガラス,ほうろう,耐火物,サーメット,研磨剤など。製陶術,窯業そのものを意味することもある。粘土,長石,石英など天然原料からつくられた製品をクラシックセラミックスといい,サーメット,フェライトデビトロセラミックスなどのように人工鉱物からつくられたもの,あるいは学問的に開発された製品をモダンセラミックス,またはニューセラミックスという。 (→ファインセラミックス )  

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