朝日日本歴史人物事典 「田中新吾」の解説
田中新吾
生年:明治12(1879)
明治大正期,製塩技術の研究開発をすすめた研究者,吏僚。和歌山県安楽川村に生まれ,東京農科大学で農芸化学を専攻。明治38(1905)年発足したばかりの大蔵省専売局(技術課長は奥健蔵)へ入る。40年に津田沼(千葉県),42年三田尻(山口県)試験場長となり,真空式蒸発法やカナワ式製塩の工業化に成功,またST式塩釜を開発した。これらの導入によって塩業は大きく発展した。さらに加圧式蒸発法から海水利用工業まで幅広い研究を進めた。大正12(1923)年奥課長の跡を継ぎ,合同機械製塩などの塩業近代化を推進。昭和12(1937)年退官。26年日本塩学会初代会長。
(村上正祥)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報