盤竜城址(読み)ばんりゅうじょうし(その他表記)Pán lóng chéng zhǐ

改訂新版 世界大百科事典 「盤竜城址」の意味・わかりやすい解説

盤竜城址 (ばんりゅうじょうし)
Pán lóng chéng zhǐ

中国,湖北省黄陂県の盤竜湖北岸にある殷代古城址。1954年に発見され,その後74年に,北京大学および湖北省博物館の手によって本格的な発掘調査が行われている。古城址は,平面正方形に近く,南北約290m,東西約260mと報告されている。城内北東部には微高地が存在し,この付近でいくつかの宮殿址が発見されている。盤竜城址の基準となる土層は8層に分かれるが,そのうちの4~6層からは,灰陶の鬲(れき),甗(げん),斝(か),簋(き),豆(とう),大口尊,尊などの遺物が出土している。これらの陶器は,殷中期に比定される鄭州二里岡遺跡出土の二里岡上層期の陶器類によく類似している。盤竜城址の西の楼子湾や東の李家嘴においては,二里岡上層期の長方形竪穴墓が多数発見されている。これらの墓からは,殷中期とされる鼎(てい),鬲,甗,斝,爵,盉(か),觚(こ),鑿,(ほん),斧,戈,刀など多量の青銅器が出土している。一般に殷中期文化の中心は,黄河中流域の河南省鄭州市から輝県付近にあったと考えられるが,湖北省黄陂県における盤竜城址および殷墓の存在は,殷中期文化の予想以上の広がりを示すものとして,重要な意味をもつ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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