石田野(読み)いわたの

日本歴史地名大系 「石田野」の解説

石田野
いわたの

古代にみえる壱岐の地名。「万葉集」巻一五に「石田野に宿りする君家人のいづらとわれを問はば如何に言はむ」とある。石田野は壱岐国石田郡内の野という意であろうが、万葉仮名では「伊波多野」であり、石田郡の「和名抄」東急本の訓(以之太)と異なる。古くはイハタであったものか、両書のいずれかの誤りか、明らかではない。また石田郡域の個別の限られた地の呼称とも考えられるが、つまびらかではない。のちの「和名抄」に記される石田郷の前身にあたる地域という見解もある。遣新羅使随員であった雪連宅満が航海途中で鬼病にかかって死去しており、これはその遺体が石田野に葬られた折の挽歌である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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