最新 地学事典 「硫化物錯体」の解説
りゅうかぶつさくたい
硫化物錯体
sulfide complex
化学的にはS2-イオンが配位子となってつくられる錯体をいう。しかし地質学の分野ではHS-, H2Sなどが配位子となるチオ錯体なども硫化物錯体ということがある。これら溶存硫黄種が配位子となってつくる錯体が熱水溶液中で卓越する場合,Au・Hg・Ag等が多く含まれると考えられている。例えば,浅熱水性金銀鉱床をもたらした熱水溶液中では,Auのチオ錯体が溶存Au種の中で卓越するなど。溶存Au種として塩化物錯体も考えられるが,どちらの錯体が卓越するかは,溶存硫黄種(H2S, HS-, S2-)濃度・Cl-濃度・pH・fO2・温度などによる。斑岩銅鉱床等に濃集したAuは熱水中で塩化物錯体として運搬された可能性が大きい。
執筆者:鹿園 直建
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

