硫酸ヒドラジニウム(読み)リュウサンヒドラジニウム

化学辞典 第2版 「硫酸ヒドラジニウム」の解説

硫酸ヒドラジニウム
リュウサンヒドラジニウム
hydrazinium sulfate

硫酸ヒドラジニウム(2+),または硫酸ヒドラジンジイウム:[N2H6SO4](130.12).IUPAC体系名は硫酸ジアザンジイウム(diazanediium sulfate).通称,硫酸ヒドラジン(hydrazine sulfate).NH3または尿素に,NaClOまたはさらし粉とNa2CO3の混合物をまぜ,さらにコロイド剤などをまぜて反応させてヒドラジンを合成し(ラーシッヒ法),ついでH2SO4を加えると結晶が得られる.斜方晶系の板状または柱状結晶.[H3N-NH3]2+(トランス形構造)を含むイオン結晶.密度約1.37 g cm-3.N-N1.42 Å.固体は加熱すると,溶融とともに254 ℃ で分解する.水に可溶(熱水には易溶).潮解性がある.還元剤,抗酸化剤,農薬など(かびの除去など),分析試薬(Ni,Coなどの重量分析,鉱物などの還元剤,血液検査用など),希金属の精錬,Po-Teの分離,重合触媒,プラスチック発泡剤などに用いられる.[CAS 10034-93-2]【】硫酸ヒドラジニウム(1+):[N2H5]2SO4(162.17).体系名は硫酸ジアザニウム(diazanium sulfate).(N2H6)SO4またはN2H4・H2Oに硫酸を作用させると得られる.無色の単斜晶系結晶.[H2N-NH3] を含む.N-N1.43 Å.融点85 ℃.水に易溶.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報