…《古事記》《日本書紀》における出雲系神話の量は多大であるし,歴史時代に入ってからでも,出雲の場合は国造制を最後までのこし,その出雲国造(くにのみやつこ)は代替りごとに参朝して神賀詞(かんよごと)を奏上するという慣行をもった。そのような古代以来の実績と直接つながるかどうかは不明であるが,やがて中世になると,ここにいわゆる〈神在月(かみありづき)〉なる伝承をもつようになる。すなわち旧暦10月を他国では神無月(かんなづき)というが,ひとり出雲国では神在月という。…
…すなわち産土神は氏子を守護し,その死後の霊魂に対して生前の善悪を裁く場に導いたり,祖霊と協力して郷土と氏子を守護するという説である。この説は神代紀に示された幽冥神としての大国主命と結びつけられ,各地の産土神が毎年10月(神無月)に出雲大社に報告のため神集うとの神在月(かみありづき)の信仰と結合して広く普及した。こうして氏神,鎮守の信仰とほとんど同一視されるにいたった産土神の信仰は,家郷的な社会生活において住民奉斎の中心となったが,明治維新後は氏子制度が整備されたこともあって,公的には産土神ではなく氏神のほうが一般化している。…
…旧暦10月に全国の神々が出雲に集まるとされ,各地で神送り・神迎え,お上り・お下りなどと称する神事が行われている。他地方で神無月(かんなづき)とするのに対して,出雲では神在月(かみありづき)と称して,島根県八束郡鹿島町の佐太(さだ)神社で神在祭を行っている。神々の出発した地方では,留守神と称してまつられる神もあった。…
…旧暦10月のこと。この月に全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲に集まり,村には神が不在となるために神無月といい,逆に出雲では神在月(かみありづき)という。しかし,出雲でも出雲大社や佐太神社などでは,神在祭(じんざいさい)の最後の日にはカラサデという一種の神送りが行われている。…
※「神在月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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