日本大百科全書(ニッポニカ) 「秘密道次第論」の意味・わかりやすい解説
秘密道次第論
ひみつどうしだいろん
sags rim
チベットの仏教書。チベット仏教ゲルクパ派(ゲルク派)の始祖ツォンカパの密教関係の主著。「ガクリム」ともよばれる。1404年ころ書かれた。冒頭で大乗仏教を顕教(波羅蜜多乗(はらみったじょう))と密教(密呪乗(みつじゅじょう))とに分け、さらに密教を作・行・瑜伽(ゆが)・無上瑜伽の四部に分類して詳しい解説を施している。ツォンカパの密教解釈の特色は、無上瑜伽タントラの『秘密集会』を重んじる点にあるが、とくに同タントラの聖者流の解釈を採用して、密教を中観帰謬論証(ちゅうがんきびゅうろんしょう)派の哲学によって、実質的には顕教化、出家仏教化したといわれている。
[松本史朗]
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