秦伊侶具(読み)はたのいろぐ

朝日日本歴史人物事典 「秦伊侶具」の解説

秦伊侶具

『山城国風土記』逸文で秦中家忌寸の祖とされる人物京都伏見区の稲荷神社の由来にかかわりを持つ。伊侶具は稲を積み上げて裕福だったが,餅を的にして弓を射ると,餅は白鳥になって山の頂きに飛び上がり稲に変化したので,イナリ(稲が成る)という社名をつけ,子孫がその祭りを行ったという。長者がおごって餅の的を射たところ,的が白鳥になるというのは説話の型で,餅から変じた白鳥は穀物霊魂。秦伊侶具に由来する伏見の稲荷神社は,全国に広がる稲荷信仰本家本元であった。秦氏は半島から渡来して山城国(京都府)を本拠にした一族

(西條勉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「秦伊侶具」の解説

秦伊侶具 はたの-いろぐ

「山城国風土記」逸文にみえる人物。
秦中家忌寸(はたのなかつやの-いみき)らの祖先。京都の伏見稲荷神社の社名起源譚によれば,伊侶具は稲をつみあげて富裕であったが,餅を的に矢を射たところ餅が白鳥となってとびさり,山の峰で稲となったので,そこが「いなり」と名づけられたという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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