突当(読み)つきあたる

精選版 日本国語大辞典 「突当」の意味・読み・例文・類語

つき‐あた・る【突当】

〘自ラ五(四)〙
① 行きあってぶつかる。衝突する。ぶつかる。ゆきあたる。
※小説奇言(1753)一「只是不敢唐突(〈注〉ツキアタル)
② 道を進んで、これ以上進めない所まで来る。行き着く。行きづまる。
※俳諧・七番日記‐文化一一年(1814)一一月「木母寺につきあたりたる時雨哉」
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一〇「大手町を突き当って薬師町へ曲がる角の所で」
③ 思いがけないことに出会う。また、困難な問題に直面する。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一〇「些やそっとの困難は此方から衝撞(ツキアタ)っても見たい位」
④ 人に手荒く対する。無愛想にする。
人情本・春色辰巳園(1833‐35)四「あたり処(どこ)がねへといって、親に突当(ツキアタ)りゃアがることもねへ」
⑤ 富くじ、入札(いれふだ)などの当たり札を突いて、当たりとなる。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「人に召(めし)つかはれし下女札に突当(ツキアタリ)て四匁にて家持となれり」
⑥ 思いあたる。符合する。
※父の婚礼(1915)〈上司小剣〉一「それを読んだ時、礑(はた)自分身の上に突き当ったやうな」

つき‐あ・てる【突当】

〘他タ下一〙 つきあ・つ 〘他タ下二〙
① はげしく突いてあてる。勢いよくぶつける。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「此の国は石堅く杌堅く、触(ツキアツレバ)物を損ず」
平家(13C前)五「門前なる李の木にかしらをつきあて、うちくだいてぞ死にける」
② あてがってつける。頭を下げて床などにつける。
土左(935頃)承平五年一月九日「女は舟底にかしらをつきあてて、音をのみぞ泣く」
③ 捜しあてる。見つけ出す。
※歌舞伎・龍三升高根雲霧(因果小僧)(1861)序幕「どうしておれが爰に居るのを突当(ツキア)てて来たのだ」

つき‐あたり【突当】

〘名〙
① ゆきあたること。ぶつかること。
② 道や廊下などの行きづまったところ。それ以上進めなくなったところ。
滑稽本和合人(1823‐44)四「突当(ツキアタリ)の六畳がよろしうございます」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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