コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

滑稽本 こっけいぼん

6件 の用語解説(滑稽本の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

滑稽本
こっけいぼん

江戸時代後期の小説の一形態。戯作の一種。当時は「中本 (ちゅうぼん) 」と呼ばれ,滑稽本の名称は近代に入って与えられた。滑稽は近世全般を貫くものであるが,滑稽本の直接の源流は宝暦 (1751~64) 頃盛行した談義本に求められ,広義には談義本を含む。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

こっけい‐ぼん【滑稽本】

江戸後期、文化・文政期(1804~1830)を中心に行われた小説の一種。江戸の町人の日常生活に取材し、主として会話を通じて人物の言動の滑稽さを描写した。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」、式亭三馬の「浮世風呂」「浮世床」など。中本(ちゅうぼん)。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

滑稽本【こっけいぼん】

江戸後期の小説形態の一種。その書型から人情本とともに中本(ちゅうほん)と呼ばれた。江戸町人生活を誇張・諧謔(かいぎゃく)・機知をもって描く。源流は宝暦ごろ流行の談義本
→関連項目江戸文学戯作滑稽和合人式亭三馬七偏人中本当世書生気質人情本梅亭金鵞文化文政時代

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

こっけいぼん【滑稽本】

江戸後期の小説形態の一種。〈滑稽本〉とは明治以後の文学史用語で,江戸時代は人情本とともにその書型から〈中本(ちゆうほん)〉と呼ばれた。十返舎一九作《東海道中膝栗毛》(初編1802)以後明治初年までの滑稽諧謔を旨とする作品を指すが,文学史上は,中本の源流とみなしうる宝暦・明和(1751‐72)のころの,笑いを内包する教訓的作品をもふくめている。 文学史上,滑稽本の最初は1752年(宝暦2)刊の静観房好阿(じようかんぼうこうあ)作《当世下手談義(いまようへただんぎ)》とされ,当時の町の生活,風俗を批判,教訓するものであるが,説経僧の語り口を採用しておのずと笑いをかもし出す。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

こっけいぼん【滑稽本】

江戸後期の小説の一。江戸を中心として流行した、滑稽を主とする小説。気質物かたぎもの・談義本だんぎぼんを継ぎ、文化・文政期(1804~1830)に最盛。町人の日常生活を題材とし、多く対話文でつづる。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」、式亭三馬の「浮世風呂」「浮世床」が代表的作品。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

滑稽本
こっけいぼん

滑稽を目的とした戯作(げさく)類で、後期江戸小説の一分野。当時は、小本(こほん)(現在の文庫本に近い型)とよばれた書型の洒落本(しゃれぼん)に対して、中本(ちゅうほん)(現在の新書判に近い型)とよばれたが、明治中期以後、近世文学が学問の対象となってから、内容によって、この名称に統一された。源流は、1760年代(宝暦年間)に江戸で流行した談義本(だんぎぼん)類で、これらは、庶民教化を目的として、仏家の説法談義の調子で、平易、滑稽に教訓するという手法をとった。代表作の静観房好阿(じょうかんぼうこうあ)作『当世下手談義(いまようへただんぎ)』(1752、53)は、古人の霊や今人の逸話に託して、滑稽な表現で退廃爛熟(らんじゅく)した江戸文化を批判した教訓書である。そして伊藤単朴(たんぼく)作『教訓雑長持(ぞうながもち)』(1752)をはじめとする多くの類作が生まれたが、この系列のなかでは、風来山人(ふうらいさんじん)こと平賀源内の『根南志具佐(ねなしぐさ)』(1763)や『風流志道軒伝(しどうけんでん)』(1763)が、個人的憤懣(ふんまん)を基調とし、教訓よりも風刺的内容に発展して異彩を放った。しかし、当時の江戸では、洒落本、黄表紙、狂文など、滑稽をもっぱらとする作品が全盛を極めていたので、談義本は短命で終わらざるをえなかった。
 1790年(寛政2)松平定信(さだのぶ)の風紀粛正令によって、洒落本、黄表紙などの笑いの文学が壊滅したのち、十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の『東海道中膝栗毛(ひざくりげ)』(初編、1802)を先頭にして、市井(しせい)の滑稽な様相を描く中本時代が始まり、庶民生活のおかしみを綿密に描写する式亭三馬(しきていさんば)の『浮世風呂(ぶろ)』(初編、1808)、『浮世床』(初編、1811)、茶番に明け暮れる庶民の遊興生活を描く滝亭鯉丈(りゅうていりじょう)の『花暦八笑人(はなごよみはっしょうじん)』(初編、1820)、『滑稽和合人(わごうじん)』(初編、1823)も刊行されて全盛期を迎え、梅亭金鵞(ばいていきんが)の『七偏人(しちへんじん)』(初編、1857)や仮名垣魯文(かながきろぶん)の『滑稽冨士詣(ふじもうで)』(初編、1860)などの模倣的作品も出た。明治に入り、魯文の『西洋道中膝栗毛』や『安愚楽鍋(あぐらなべ)』なども刊行されたが、1872年(明治5)、政府の「三条の教則」の宣伝文学『蛸(たこ)之入道魚説教』(魯文)が最後の中本となった。[興津 要]
『暉峻康隆・郡司正勝著『日本の文学5 江戸市民文学の開花』(1967・至文堂) ▽中野三敏著『戯作研究』(1981・中央公論社) ▽興津要著『転換期の文学――江戸から明治へ』(1960・早稲田大学出版部)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の滑稽本の言及

【中本】より

半紙本小本(こほん)との中間の寸法。近世後期の絵入り小説たる草双紙類は多くこの形態をとるが,そのなかでもとくに滑稽本,人情本の異称ともなる。【宗政 五十緒】。…

※「滑稽本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

滑稽本の関連キーワード化政文化洒落本端唄滝亭鯉丈がら滑稽和合人たあ谷崎精二っし『浮世風呂』

今日のキーワード

災害派遣

天災地変その他の災害に際して,人命または財産の保護のために行なわれる自衛隊の派遣。災害出動ともいう。都道府県知事などの要請に基づいて,防衛大臣が派遣することを原則とするが,特に緊急を要する場合,要請を...

続きを読む

コトバンク for iPhone

滑稽本の関連情報