立掛(読み)たちかかる

精選版 日本国語大辞典 「立掛」の意味・読み・例文・類語

たち‐かか・る【立掛】

〘自ラ五(四)〙
① 雲、霧などが立って、かかる。
今昔(1120頃か)一〇「五色の雲、常に彼の芒山に立懸る」
② 今にも立とうとする。まさに立ち上がろうとする。
※宇治拾遺(1221頃)一一「うつぶしに倒れたりけるを、ちがひてたちかかりて、おこしたてず頭を又うちわりてけり」
③ 立ち向かう。かかってゆく。
太平記(14C後)一五「鐘木を大きに拵へて、二三十人立懸りて、破(われ)よとぞ撞たりける」
④ 立ち上がってもたれる。立ってよりかかる。
源家長日記(1216‐21頃)「人かげのうちして、ここかしこのたてじとみにたちかかり」
⑤ 先を争う。
浮世草子日本永代蔵(1688)四「野も山もみな銭掛松かと思はれ立かかりて拾へば」
⑥ (歌舞伎脚本のト書用語) 立っている、また、何かに向かって立とうとする、力を加えようとするなどの意に用いる。
※歌舞伎・韓人漢文手管始唐人殺し)(1789)四「『ハア』ト立かかり、隼人を引出す」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「立掛」の意味・読み・例文・類語

たて‐かけ【立(て)掛(け)/立(て)懸(け)】

立てかけておくこと。
江戸時代に流行した男の髪形の一。もとどりを大きくとって、まげ後頭部に立てかけるように結ったもの。宝永(1704~1711)ごろに浄瑠璃語り江戸半太夫が結いはじめたものという。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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