化学辞典 第2版 「等価軌道関数」の解説
等価軌道関数
トウカキドウカンスウ
equivalent orbital
対称性を有する分子の分子軌道がユニタリー変換によって,一つの結合または孤立電子対に局在化した軌道の一次結合に置き換えられるとき,この局在化した軌道をいう.単に等価軌道ともいう.たとえば,水分子H2Oでは,その分子軌道はO-H結合に局在化した軌道と,Oの孤立電子対として局在化した軌道の2種類の軌道関数の一次結合で表される.この場合,角H-O-Hの二等分線のまわりの180°回転により,二つのO-Hに局在化した等価な結合軌道関数は入れ替わり,また分子面に関しては,二つの等価な孤立電子対軌道関数は対称になっている.飽和炭化水素の分子軌道は,C-H,C-C結合に局在化した2種類の結合軌道関数の一次結合で表されるが,このような表し方をLCBO法(Linear Combination of Bond Orbitals)という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報