軌道関数(読み)きどうかんすう(英語表記)orbital function

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「軌道関数」の解説

軌道関数
きどうかんすう
orbital function

量子力学において原子分子に一体近似を用いると,電子波動関数を空間部分とスピン部分に分離できる。このうち空間部分を軌道関数という。軌道関数は,その2乗の絶対値が電子を単位体に見出す確率を表わし,前期量子論における原子核のまわりの電子軌道 (オービット) に対応するので,これと区別する意味でオービタルとも呼ばれる。原子核のまわりの電子軌道関数はシュレーディンガー方程式を解いて得られる。通常は水素原子のシュレーディンガー方程式から得られる軌道関数を 1s,2s,2px,2py,… と書く。ここで1,2,…は主量子数といい,電子のエネルギー準位の大枠を規定する。S,P,…は方位量子数といい,各主量子数に付属して,エネルギー準位のサブグループを分類する指標となる。このような原子軌道関数は,分子に対しては分子オービタル (分子軌道関数) と呼ばれ,分子の中の電子の空間分布を与えるので,分子の構造や結合の強さなど,分子の性質を知るうえで基本となる。

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化学辞典 第2版「軌道関数」の解説

軌道関数
キドウカンスウ
orbital(function)

原子,分子などの多電子系のハミルトニアンは,電子間クーロン反発エネルギーの項

e 2/rij(eは電子電荷,rij は電子ij間の距離)
を含んでいるので,厳密な固有関数を求めることが不可能である.この際,もっとも用いられる近似は,個々の電子にはたらくポテンシャルをなんらかの形で平均化し,その電子の座標のみに依存させるようにする,いわゆる一体近似である.この近似によると,ハミルトニアンは個々の一電子ハミルトニアンの和の形で表され,その結果,固有関数は,1個の電子の座標のみに依存する関数,すなわち,一電子関数の積またはその一次結合で与えられる.ここで得られる一電子関数を,一般に軌道関数といい,原子の場合を原子軌道関数(atomic orbital,AO),分子の場合を分子軌道関数(molecular orbital,MO)とよぶ.

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デジタル大辞泉「軌道関数」の解説

きどう‐かんすう〔キダウクワンスウ〕【軌道関数】

原子や分子における電子の運動状態を記述する波動関数。この絶対値の2乗はある位置における電子の存在確率を表す。

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精選版 日本国語大辞典「軌道関数」の解説

きどう‐かんすう キダウクヮンスウ【軌道関数】

〘名〙 原子や分子内での電子の運動経路を示す関数。波動関数、軌道方程式とも。

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