原子内の電子で直接共有結合に関与しない電子対のこと。英語そのままに「ローンペア」とよぶことも多い。孤立電子対は配位結合をつくるときの電子供与体として働く。つまりルイス酸としての性質を示す。たとえばアンモニアには1組の孤立電子対があるが、これに電子をもたない水素イオン(プロトン)が配位結合するとアンモニウムイオンNH4+が生じる。この場合、水素イオンが電子対受容体である。水素イオンのほかにも多くの金属のイオンが電子の受容体となるから、アンモニアや水の分子の配位した錯体が数多く知られている。電子を点で表せば、孤立電子対は元素記号の側に二つの点を並べて表すことが多い。
[下沢 隆]
『吉野諭吉著『酸・塩基とは何か』(1989・共立出版)』
2個の外殻電子が結合にあずからずに,対をつくっている電子のことをいう.N原子には5個の外殻電子があり,アンモニア分子では,このうち3個の電子がH原子の電子とそれぞれ対をつくって結合を形成するが,残る2個の電子は結合には関与せず,孤立電子対としてとどまる.また,水分子のなかのO原子には二組の孤立電子対がある.一般に,孤立電子対を有する分子は,その電子を相手に与えやすいので塩基性を示し,また配位結合を形成しやすい.アミノ基やヒドロキシ基が官能基としての性質が強く,水素結合の形成に関与したり,化学反応性に大きな影響を与えたりするのも,孤立電子対を有するためである.[別用語参照]n-π* 遷移
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…孤立電子対ともいう。外殻電子2個が互いにスピンを逆向きにして同一の軌道にはいり,化学結合の形成には関与しないとき,その2個の電子が非共有電子対をつくっているといい,このような外殻電子をローンペア電子という。…
※「孤立電子対」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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