紙上封鎖（読み）しじょうふうさ（その他表記）paper blockade

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

紙上封鎖
しじょうふうさ
paper blockade

告知のみで実効性を伴わない戦時封鎖の宣告をいい，擬制封鎖とも呼ばれる。実効性とは封鎖地域に出入りするのを防止するに足りる十分な兵力による封鎖の維持を意味し，19世紀初頭から戦時封鎖成立の要件として確立している。したがって，紙上封鎖は有効な封鎖とは認められず (1856年パリ宣言) ，封鎖の効果は生じない。

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世界大百科事典（旧版）内の紙上封鎖の言及

【封鎖】より

…さらに同宣言は，〈封鎖は，封鎖艦隊が荒天のため一時その場所を離れても，そのために解除されたものと認められることはない〉(4条)と定めて，停泊封鎖を必要とするか艦隊で出入を監視する巡航封鎖でもよいかの争いに一応の決着をつけた。もっとも，単に封鎖宣言を行うだけで実効性を伴わないいわゆる紙上封鎖あるいは擬制封鎖はいわば封鎖権の乱用であり認められない。さらに封鎖成立の第2の要件として，その開始日，地理的範囲等が明確に宣言され，告知されなければならないことがあげられる。…

※「紙上封鎖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」