…こうした流れを横切って構築定置する方法は網代(あじろ)や簗(やな)も同じである。網漁には引網,流し網,投網,伏網などと数多いが,川船に乗って四つ手網を操る四つ手網漁や堰四つ手網漁は琵琶湖に注ぐ河川で特異な技法である。その他,タデの葉,サンショウ・クルミの皮の汁,石灰などを川に流すドクナガシ(毒流),川水を濁すニゴシブチ(濁淵),流れをせきとめて行うセボシ(瀬干),カイボリ(搔掘)なども古風な漁法である。…
…《和名類聚抄》が〈漁翁〉を〈むらきみ〉と訓ずるところから,村君はまず老練な長老的漁民を意味していたと推定される。そして,中世若狭国の漁村史料には〈大網むらきみ職〉〈本あみのむらきみ〉などの職名が見え,《宇津保物語》に〈むらぎみ召して大網曳かせ〉という一節があることから,村君がとくに網漁を指揮する存在であったことがわかる。村君という名まえの由来や,彼らが網漁とかかわって現れることの理由を詳しく知ることはできないが,おそらく大網が中世漁業における最も協業的な漁法であったこととなんらかの関係があったのであろう。…
※「網漁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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