繰越利益(読み)くりこしりえき(英語表記)profit brought forward

改訂新版 世界大百科事典 「繰越利益」の意味・わかりやすい解説

繰越利益 (くりこしりえき)
profit brought forward

会社が稼得し,処分の対象となる利益のうち,別段の処分をうけることなく次期に繰り越されていく利益をいう。繰越利益剰余金ともいう。株式会社では,処分の対象となる利益は,当期損益前期繰越利益,目的を特定した任意積立金のその目的に従う取崩額,中間配当額およびそれに伴う利益準備金積立額を加減した額で,未処分利益剰余金と呼ばれる。この未処分利益剰余金は,法律の規定や会社の方針により,配当や役員賞与の支払,利益準備金,将来の配当や新築などのための任意積立金等,いろいろな形で処分される。未処分利益剰余金のうち,処分されずに残ったものが繰越利益である。会計上は,処分された額は,それぞれの内容がわかる勘定に移され,処分されずに残った額が繰越利益勘定に移されて,次期に繰り越される。繰越利益は,次期においては次期損益に加減されて,新たな処分対象利益を構成する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の繰越利益の言及

【準備金】より

…特定積立金は,特定の使途が定められている準備金で,配当平均積立金,損失塡補準備金,社債償還積立金,株式償還積立金,設備拡張準備金,退職給与積立金などであるが,価格変動準備金,渇水準備金,特別償却引当金など税法上のいわゆる利益性引当金も任意準備金に属する。繰越剰余金は,使途が特定されていない単なる利益留保で,一般に未処分利益または繰越利益と呼ばれているが,いわゆる別途積立金もこれに属する。特定積立金は,定められた目的に使用するために取り崩すことができるが,とくに定款の変更または総会の決議を経れば,目的外に使用するために取り崩すことができ,他方,別途積立金などの繰越剰余金は,当然に総会の利益処分の対象であり,総会の決議で自由に取り崩すことができる。…

※「繰越利益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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