改訂新版 世界大百科事典 「役員賞与」の意味・わかりやすい解説
役員賞与 (やくいんしょうよ)
取締役や監査役などの役員に支払われる臨時的性格をもつ報酬をいう。会社が稼得した利益から配分され,その点で株主や出資者への配当と同じである。それは,一種の成功報酬を意味し,会社の規程(定款,給与規程など)に基づき支払われる労働報酬を意味する,経常的な給与である役員報酬とは異なる。役員報酬はあらかじめ額が決まっているが,役員賞与の額は毎期一定せず,事業年度末に取締役が配当などと同様に利益処分案の一環として賞与額の案を作成し,株主総会や社員総会の承認をうけて決定される。ただし,その額は配当と異なり法律上の制約をうけない。会計上は,役員報酬が当期の損益計算書に費用として計上されるのに対し,役員賞与は配当などと同様に当期の剰余金処分計算書に計上される。なお,役員の範囲は,法人税法では,取締役,監査役,理事,監事,清算人などをさすとされている。
執筆者:前田 貞芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報