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胆管がん たんかんがん

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知恵蔵の解説

胆管がん

胆管は、肝臓で生成された胆汁を十二指腸へ送る管で、肝臓内部に枝分かれした肝内胆管と、肝臓から出て膵臓(すいぞう)の中を通り十二指腸までつながる約8センチメートル肝外胆管から成る。一般的に、「胆管がん」という場合には肝外胆管の上皮に発生した悪性腫瘍(しゅよう)を指し、肝内胆管に発生するがんは肝細胞がん(肝がん)に分類されることが多い。また、胆嚢(たんのう)は胆管から分岐して胆汁を濃縮し貯めておく器官で、胆嚢にできるがんと合わせて胆道がんということもある。
2011年のがん統計によれば、胆嚢・胆管がんの死亡者は約1万8000人、死亡率は人口10万人当たり14.4人。年間の罹患(りかん)率と死亡率がほぼ同じぐらいであるのが特徴で、治りにくく死亡につながりやすい悪性腫瘍であることを示している。60歳代以上に多い。結石、胆管炎、肥満などがリスク要因になるとされている。
初期症状として、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)が現れたり、白い便がみられたりすることがある。これはがんが増殖し胆管が詰まって胆汁の流れがせき止められるため。ただし、粘膜に染みこむように広がるタイプのがんでは詰まらない場合もあり、必ず黄疸が現れるとは限らない
診断は、超音波、CT、MRIなどの画像や、腫瘍マーカー、細胞診などによって行われる
黄疸があれば、まず溜まった胆汁を吸い出す(ドレナージ)ことが急がれる。がん病変を外科手術で完全に摘出できれば完治も期待できるが、周辺に重要な血管や臓器がいくつもあるため部位と範囲によっては切除が難しいケースも多い。手術ができない場合などに放射線療法化学療法が試みられることがあるものの、切除以外の療法はまだ確かな有効性が認められていないのが現状である。12年5月、産業医科大学の熊谷信二准教授の調査で、大阪市の校正印刷会社で1991年から2003年に1年以上働いていた元従業員らが、通常の数百倍以上の高頻度で胆管がんを発症し死亡していることが明らかになった。熊谷准教授は、印刷機の洗浄に使われる有機溶剤の1.2-ジクロロプロパンが原因である可能性を指摘。その後、宮城県の印刷会社でも同様の死亡例が複数見つかったことから、厚生労働省が全国の校正印刷会社を対象に職場環境などの実態調査に乗り出した。

(石川れい子  ライター / 2012年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

胆管がん

肝臓でつくられた胆汁を十二指腸まで運ぶ8センチほどの細い管(胆管)にできる。多くの場合、周りの組織に染み込むように広がり、腫瘍(しゅよう)が目立たないため、発見が難しい。厚生労働省の専門家検討会は3月、印刷機の洗浄剤に含まれる「1、2ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」が発症の原因と推定する報告書をまとめた。

(2013-04-02 朝日新聞 夕刊 1社会)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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家庭医学館の解説

たんかんがん【胆管がん Bile Duct Carcinoma】

◎肝内胆管がんは予後(よご)が悪い
[どんな病気か]
 男性にやや多くみられます。胆管には肝内胆管(かんないたんかん)と肝外胆管(かんがいたんかん)とがあります(図「胆嚢、胆管の部位の名称」)。肝内胆管がんは胆管細胞がんとも呼ばれ、胆管がんのなかでも、もっとも予後(治療後の経過)の悪いものです。症状がなく、症状が出て診断がついたときには、かなり進行しているためです。
 肝外胆管は肝門(かんもん)部、上部、中部、下部に分かれますが、肝外胆管にできたがんは、それぞれの部位の名称を胆管がんの前につけて呼びます。肝門部胆管がん、上部胆管がんと、上部へ行くほど手術が困難で切除率が低く、予後も悪くなりますが、中部胆管がん・下部胆管がんの切除率は上部胆管がんよりも大きいため、治癒率(ちゆりつ)が向上します。
[症状]
 肝内胆管がんは、かなり進行するまで症状が現われません。胆管壁は薄く(約1mm)、管も細い(直径7~10mm)ため、内腔(ないくう)ががんでふさがれやすく、黄疸(おうだん)で発症します。
 がんは早くから周囲の神経や血管、リンパ管に浸潤します。多くは黄疸で発症するのですが、その前に「皮膚がかゆい」「尿が濃くなった」と訴える人もたくさんいます。
 肝門部胆管がんの場合は、左右の胆管が閉塞(へいそく)して初めて黄疸が出ます。
 また、胆嚢管(たんのうかん)より下部の総胆管が閉塞されると、胆嚢が大きく腫(は)れます。
[原因]
 肝内胆管がんは、肝内結石(かんないけっせき)と関連する慢性感染や炎症がその原因と考えられています。胆管と膵管(すいかん)は、十二指腸(じゅうにしちょう)に開口する前に合流するのがふつうですが、胆管が膵管に合流するような合流異常症では、胆嚢がんや胆管がんの発生が多くみられます(約10~20%)。
 発がんの誘因としては、胆石(たんせき)や膵液による慢性の炎症性刺激、ホルモン、胆汁(たんじゅう)のうっ滞(たい)などが考えられています。
[検査と診断]
 黄疸がなくとも、肝内の胆管に拡張があれば、精密検査を受ける必要があります。
 閉塞性黄疸では肝内の胆管が拡張しています。入院し、減黄(げんおう)(黄疸をとる処置)のために挿入したチューブから得た胆汁を細胞診(さいぼうしん)すれば、がんの診断精度は80%以上になります。
◎がんの場所によって手術は異なる
[治療]
 肝門部胆管がんには胆嚢がんと同様、肝切除術が行なわれます。むずかしい手術です。
 中・下部胆管がんの場合は膵頭十二指腸切除(すいとうじゅうにしちょうせつじょ)が行なわれます。ただし最近では、患者さんの術後の生活の質(QOL)を考慮して、胃を切除しないで温存しておく方式も行なわれます。
 切除不能の進行がんの場合は、黄疸をなくし、通院しながら自宅での生活を楽しめるように、胆管の狭窄(きょうさく)した部位に形状記憶合金製のステント(管)を留置し、胆管の内腔を広げる方法が行なわれます。

出典|小学館
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