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がん がん cancer

翻訳|cancer

5件 の用語解説(がんの意味・用語解説を検索)

知恵蔵2015の解説

がん

「癌」という字は、乳がんが岩のように盛り上がっているところから付けられたという。同様に、カニを意味するcancer(英)やKrebs(独)ががんを意味するのも、乳がんの広がっていく様子がカニに似ていることに由来している。ヒトの身体は60兆もの膨大な細胞から構成されているが、体の一隅に生じたがん細胞は増え続け、組織を破壊して周囲の組織に浸潤、さらには肺や肝臓、リンパ節などの臓器にも転移し、生命を脅かす。がん細胞の異常な増殖と行動は、正常性を維持している重要な遺伝子群に次々と突然変異が起こったことによる。このような遺伝子として、がん遺伝子がん抑制遺伝子があり、ヒトの総遺伝子数(2万〜2万5000種)のほぼ0.5〜1%ががんに関与していると推測される。がんはその発生母地、組織の形態などから分類され、臓器の表面を覆う上皮細胞に由来するがん腫(胃がん大腸がん等)と、組織の構造を支える間質細胞などに由来する肉腫(骨肉腫、リンパ腫等)に大別される。がん腫と肉腫の比は9:1で圧倒的にがん腫が多い。さらに、がん腫は発生母地の細胞によって、腺がん、扁平上皮がんなどに分類される。腺がんは、消化管の粘膜上皮細胞や分泌腺などに由来し、胃がん、大腸がん、乳がんなどがその代表である。腺がんの中でも分化度が低く、硬い線維構造からなるがんを硬がん(スキルス)といい、胃がん、乳がんに見られる。扁平上皮がんは、外界と近い臓器、例えば口腔、食道などの臓器の表面の細胞に由来する。また、造血細胞のがんには、白血病リンパ腫、骨髄腫があり、白血病はその由来する細胞と経過で、急性・慢性、骨髄性・リンパ性に細分される。がんの診断名は、発生した臓器と前記の組織標本上の形態で付けられることが多く、「肺の扁平上皮がん」「胃の硬がん」などという。

(黒木登志夫 岐阜大学学長 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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家庭医学館の解説

がん

◎がん(悪性腫瘍(あくせいしゅよう))とは
◎悪性腫瘍のいろいろ
◎同時に複数発生する多重がん

◎がん(悪性腫瘍(あくせいしゅよう))とは
良性腫瘍悪性腫瘍
 腫瘍(しゅよう)とは、からだの細胞の一部が勝手に増殖(ぞうしょく)を始め、かたまりとなったもので、「腫(は)れもの」という意味です。これには良性のものと悪性のものとがあります。細胞が無制限に増殖して周囲の正常な細胞を破壊し、いろいろな部位に転移(てんい)をおこして生命に危険をおよぼす腫瘍を、悪性腫瘍または悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)といい、がんがその代表です。
 皮膚にできるいぼやほくろ、脂肪腫(しぼうしゅ)、消化管に発生するポリープなども腫瘍ですが、ある程度増殖はしても速度はおそく、周囲の細胞を破壊したり、転移をおこしたりはせず、生命にかかわることはありません。そのため、これらは良性腫瘍(りょうせいしゅよう)と呼ばれます。
 ただし、脳腫瘍の場合は、少し事情がちがいます。脳腫瘍の大部分は良性腫瘍ですが、近くの細胞を圧迫してそのはたらきを阻害(そがい)するために、腫瘍の発生した部位に応じた頭痛(ずつう)、まひなどの症状がおこってきます。生命を支える脳幹(のうかん)に発生した場合は、手術ができず、生命にかかわることもあります。
 また、良性腫瘍のなかには、時間とともに性質が変化し、悪性腫瘍になるものもあります。皮膚、骨、大腸(だいちょう)の良性腫瘍にときにみられます。

◎悪性腫瘍(あくせいしゅよう)のいろいろ
●がん腫(しゅ)と肉腫(にくしゅ)に大別される
 悪性腫瘍は、発生する細胞の種類によって、がん腫(ふつう、略してがん)と肉腫とに分けられます(図「がんの種類と発生する部位」)。
 頻度(ひんど)は圧倒的にがん腫が多く、悪性腫瘍の90%以上を占めます。このことから、がんは悪性腫瘍の代名詞として使用されることが多く、がん腫と肉腫とを含めて「がん」と呼ばれています。本書でも、とくにことわらないかぎり、この方式を踏襲(とうしゅう)しています。
■がん腫
 皮膚、粘膜(ねんまく)、いろいろな臓器の表面に近い部分を構成している上皮(じょうひ)細胞という細胞から発生する悪性腫瘍で、顕微鏡で見た組織の型のちがいによって、大きく扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん、腺(せん)がん、未分化(みぶんか)がんの3つに分けられています。
 扁平上皮がんは、おもに皮膚や器官の粘膜表面にできるがんで、皮膚、食道、口腔(こうくう)、腟(ちつ)、外陰(がいいん)、陰茎(いんけい)、陰嚢(いんのう)、肺などに発生します。
 腺がんは、身体内部の分泌物(ぶんぴつぶつ)を出す上皮からできるがんで、胃、腸、子宮体部(しきゅうたいぶ)、肺、乳房(にゅうぼう)、卵巣(らんそう)、前立腺(ぜんりつせん)、甲状腺(こうじょうせん)、肝臓(かんぞう)、腎臓(じんぞう)、膵臓(すいぞう)、胆嚢(たんのう)などに発生します。
 未分化がんは、がん細胞であることは確かでも、発生の母地(ぼち)となった細胞が確認できないタイプで、増殖も転移も速く、悪性度が高い傾向があります。からだのあらゆる部位から発生しますが、甲状腺や肺などではかなり多く認められます。
 細胞の種類からいうと、胃がんは腺がんが多く、食道がんは扁平上皮がんが多いということになります。肺には、扁平上皮がん、腺がん、未分化がんのいずれもが発生します。
 扁平上皮がん、腺がん、未分化がんの3つは、組織の型がちがうだけでなく、性質のうえでもちがいがあります。たとえば、肺がんの場合、扁平上皮がんと腺がんは進行が比較的ゆっくりですが、未分化がんは進行が速いのがふつうです。また、未分化がんには化学療法放射線療法がよく効きますが、扁平上皮がんと腺がんにはあまり効果がありません。
 このように、がんは、治療する立場からは、どこの臓器に発生したかというよりも、どの組織の型であるかのほうがより重要になるのです。
■肉腫
 上皮細胞以外(非上皮)の細胞に発生する悪性腫瘍を、肉腫といいます。
 胃や腸の筋肉の部分を構成している筋細胞に発生するもの(胃肉腫など)と、骨や結合組織(組織と組織をつなぎ合わせる糊(のり)のようなはたらきをしている軟部組織)を構成している細胞に発生するもの(骨肉腫(こつにくしゅ)(「骨肉腫」)など)とがあります。
 また、リンパ系リンパ球に発生する悪性リンパ腫(「悪性リンパ腫」)、血液をつくる骨髄中(こつずいちゅう)に存在する骨髄細胞やリンパ球に発生する白血病(はっけつびょう)(「白血病とは」)、骨髄中の形質細胞に発生する多発性骨髄腫(「多発性骨髄腫」)も、上皮細胞以外の細胞に発生する悪性腫瘍ですから肉腫の一種ですが、これらはまとめて血液のがんとも呼ばれています(図「がんの種類と発生する部位」)。

◎同時に複数発生する多重がん
 がんは、同時に複数存在していることがあります。これを多重がんあるいは重複がんといい、がん患者さんの約6%にみられるという報告があります。
 大部分は初めに発生した原発がんからの転移によるものですが、転移と無関係に発生することもあります。
 複数のがんが同一臓器にある場合は多発(たはつ)がん、多臓器に発生している場合は重複がんと区別して呼ぶこともあります。また、がんの治療中または治療後に、転移ではなく、新たにがんが発生する場合を二次がんといいます。
 多重がんは、乳がん、喉頭(こうとう)がん、咽頭(いんとう)がん、胃がんなど、わりあい治りやすいがんに多くみられます。

出典|小学館
(C)Shogakukan Inc.
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食の医学館の解説

がん

《どんな病気か?》
〈日常生活や食生活などの環境要因ががんをまねく〉
 腫瘍(しゅよう)には良性と悪性がありますが、悪性の腫瘍をがんといい、上皮性細胞(じょうひせいさいぼう)に発生するものです。肉腫(にくしゅ)などもがんの一種ですが、これは筋肉などの非上皮性細胞に発生します。同じ悪性腫瘍であっても、両者のうち、発生頻度は上皮性細胞のがんが圧倒的に多く、全悪性腫瘍の90%を占めています。以下に、[がんの種類/対応する細胞/発生する部位]の形でがんの種類を示しますので参考にしてください。
・扁平上皮がん/扁平上皮細胞/食道、皮膚、口腔、肺、腟、子宮頸部、陰茎、陰のうなど
・腺がん/腺上皮細胞/胃、腸、乳房、肝臓、腎臓、肺、甲状腺、卵巣、子宮体部、前立腺
・未分化がん/対応の細胞は不明/全身
・肉腫/筋細胞、線維細胞/骨、筋肉、軟部組織
・悪性リンパ腫/リンパ球/リンパ節、脾臓、扁桃
・白血病/骨髄細胞、リンパ/骨髄
・多発性骨髄腫/形質細胞/骨髄
 がんの発生は、細胞のDNAに傷がつき、その細胞が分裂することによって異常増殖をくり返してがん化することによります。このようながんを発生させるのは、遺伝的要因のほかに、人間の生活をとりまく環境が大きな影響を与えています。そのほとんどが食べものと喫煙です。そのほか、最近話題になったダイオキシンなどの環境ホルモン食品添加物も、がんを引き起こす要因にあげられます。また、ストレス自律神経ホルモンの働きを乱し、がんに対する抵抗力を弱める要因の1つです。そして、このような環境因子のほかに、体の部位によってがんを引き起こしやすい危険因子がかわります。たとえば日本人にもっとも多くみられる胃がんの危険因子は、塩辛い食品や喫煙など。いずれにしても喫煙や食生活が大きな影響を与えていることは、どの部位に発生するがんでも同じことです。
〈がん予防になる食品・発生させる食品〉
《関連する食品》
 がんを予防するには、摂取をひかえたほうがいい食品と積極的に摂取したい食品があります。
○摂取をひかえたほうがいい食品
〈塩分・脂肪分・食品添加物・アルコールは大敵〉
 塩辛い味付けをする地方では胃がんが多いといわれます。塩分は成人で1日10g以下を目安にしましょう。脂肪=肉食を好む欧米のがん発生をみると、大腸がんや子宮がんが多く、脂肪のとりすぎもがん発生に大きな影響を与えているとみられています。1日に摂取するのは赤身80gを目安にし、油も動物性より植物性のものを使いましょう。
 このほか、カビが生えたり焦げた食品、食品添加物、アルコールの摂取にも注意が必要です。
○積極的に摂取したい食品
抗酸化物質食物繊維β―グルカンが働く〉
 発がんを抑制する成分は、活性酸素(かっせいさんそ)による酸化を防ぐ抗酸化物質(こうさんかぶっしつ)と、その他の予防効果がある物質とにわけることができます。抗酸化物質は、発がん物質がDNAを傷つけるのを防ぐ、傷ついたDNAを修復する力を高める、活性酸素の働きを弱めて酸化を防ぐなどの効果があります。また、その他の予防効果がある物質のなかでは、たとえば食物繊維は発がん物質を体外に排出したり、β(ベーター)グルカンなどは免疫力を高めてがん細胞の働きを弱めたり、テンペ類は発がん物質を無毒化したりというような効果があります。
〈抗酸化物質の働き〉
<活性酸素は発がんのきっかけをつくる>
細胞のDNAに傷をつけ細胞をがん化させたり、突然変異を起こしたがん細胞を増殖させたりします。
<抗酸化物質は活性酸素の働きを抑える>
・活性酸素の発生を抑制する。
・活性酸素を消去する。
・活性酸素によって傷つけられた細胞を修復する。
<抗酸化物質は発がんを抑制する>
・発がん物質のDNA侵入を防ぐ。
・がん細胞の異常増殖を防ぐ。
・発がん物質を体から追いだす。
・DNA本来の治癒能力を高める。

出典|小学館
(C)Shogakukan Inc.
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大辞林 第三版の解説

がん

( 副 )
(多く「と」を伴って)
強く打ったり、堅い物に突き当たったりする時に出る大きな濁った音を表す語。また、音が出るほど強く打つさま。 「 -と鳴る」 「 -と殴られた」 「こらしめに一度-とやっておこう」
手きびしく打撃を与えるさま。がつん。 「 -という目にあわせる」

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

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