胞子嚢穂(読み)ほうしのうすい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「胞子嚢穂」の意味・わかりやすい解説

胞子嚢穂
ほうしのうすい

胞子葉が枝先に多数集まり穂状になったものをいい、シダ植物のなかでも原始的な性質をもつ仲間(ヒカゲノカズラ科、トクサ科、ハナヤスリ目)にみられる。ヒカゲノカズラ科は小葉植物(葉脈は1本で、葉跡が分岐する際に葉隙(ようげき)が生じない葉をもつ植物)の一分類群で、胞子葉の向軸面基部に1個の胞子嚢がつく。そして多数の胞子葉が集まって胞子嚢穂を形成する。トクサ科は有節(ゆうせつ)植物(植物体中の茎に節を有し、葉が節に輪生する植物)で、胞子嚢は枝が変形した胞子嚢托(たく)の先端につく。また胞子嚢托の間には托葉状の葉がみられ、これらが多数集まって胞子嚢穂を形成している。ハナヤスリ目は真嚢シダ類(胞子嚢の壁は数層の細胞からなり、多数の胞子を生じる植物)に属し、隣接する胞子嚢がさまざまな程度に癒着して単体胞子嚢群となる。それらが胞子嚢穂を形成するため、胞子嚢穂は単生のものと分枝したものがみられる。胞子嚢穂はリンボクやロボクなどの化石植物に多くみられる。

[安田啓祐]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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