脳間部(読み)のうかんぶ(英語表記)pars intercerebralis

改訂新版 世界大百科事典 「脳間部」の意味・わかりやすい解説

脳間部 (のうかんぶ)
pars intercerebralis

昆虫の脳(食道上神経節)は左右両半球から成り,前・中・後大脳にわけられる。このうち前大脳の背側前方部を脳間部という。ここからは単眼神経が出るとともに,神経分泌細胞が数多く分布している。正中線に近いものを中央神経分泌細胞medial neurosecretory cell,前大脳前縁に近いものを側神経分泌細胞lateral n.c.という。セクロピアサンのさなぎでは,中央部に4タイプ,側方に2タイプの計6タイプ36細胞があり,直翅(ちよくし)類ではその数は数百にのぼる。側神経分泌細胞群のうちの一つは前胸腺刺激ホルモン産生細胞である。脳間部の神経分泌細胞の軸索は,側心体神経Iを経て側心体に終わるものと,側心体を通りアラタ体神経を経てアラタ体に終わるものとがあり,側心体,アラタ体両器官みずからの分泌細胞をもつ内分泌器官以外に神経血管器官(神経分泌物質の貯蔵放出器官)としての役割もある。このため,これらの器官を総称して,脳間部-側心体-アラタ体系ともいう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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