四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「腹部超音波検査」の解説
腹部超音波検査
超音波を使い、肝・胆・膵・腎・腸の異常を調べる検査です。検査着に着替えないので、腹部の出しやすい服装で受けてください。
胆石の診断、早期肝臓がんの発見に有用な検査
人の耳には聞こえない高周波の音波を使い、その反射(反響)を画像化して 診断する検査です。肝・
胆石は、腹痛など何らの症状を認めずに、検診などで初めて指摘される場合も多く、また、胆石保有者の約10%は生涯、無症状で経過するといわれています。胆石があっても腹痛や
C型肝炎ウイルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変・肝臓がんに移行する確率が高いので、定期的な検査で早期の変化をとらえるために、この検査が繁用されています。
胆石は白い像として写る
結石は、音波を強く反射します。胆嚢内は、液体があるため黒く写し出され、その中に石があると白い像(高エコー像)に写ります。また、音波は石に反射されるため、石の後方(下側)にエコーが伝わらない像(音響陰影)がみられます。ポリープも白い像になりますが、音響陰影は認めないため、両者を区別できます。肝臓がんは、肝臓内に腫瘍状の薄い白い像(低エコー像)を示します。
■胆石
胆嚢の下部に胆石が白く写っている。その下に伸びている黒い帯が音響陰影。
人体にまったく影響はない
腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。検査台にあお向けに寝て、両手を頭のほうにあげて、手枕をした姿勢をとります。
最初に、皮膚と音波を出す
ほとんどはあお向けで行いますが、横向きや坐位になっても検査をします。15~20分で終了、人体にはまったく影響がなく、苦痛もありません。
腹部を出しやすい服装で
前日の夕食は普通ですが、当日の朝食は禁止です。糖尿病薬以外の常用薬は飲んでもかまいません。検査着に着替えずに行うため、ワンピースなどは避け、腹部の出やすい服装にしてください。検査終了後の安静はいりません。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆胆石→腹部CT、胆嚢胆管造影など
◆肝硬変→腹部CTなど
◆肝臓がん→腹部CT、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-Ⅱ)、MR、PET-CT、腹部血管造影など
◆膵臓がん→腹部CT、腫瘍マーカー(CEA、 CA19-9)、MR、PET-CT、逆行性膵(胆)管造影、腹部血管造影など
医師が使う一般用語
「ちょうおんぱ」「ユーエス」「エコー」=「ユーエス」はultra sonography(超音波)の略USから。「エコー」は「反射波」のこと
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報