薩隅日並琉球高辻帳(読み)さつぐうにちならびにりゆうきゆうたかつじちよう

日本歴史地名大系 「薩隅日並琉球高辻帳」の解説

薩隅日並琉球高辻帳(郡村高辻帳)
さつぐうにちならびにりゆうきゆうたかつじちよう

四冊

成立 寛文四年

写本 東京大学史料編纂所

解説 将軍徳川家綱の代替りに伴って行われた寛文印知(寛文四年)にあたって、鹿児島藩から幕府に提出された国ごとの郷帳。薩摩国郡村高辻之帳・大隅国郡村高辻之帳・日向国諸県郡村高辻之帳・琉球国諸島高辻之帳からなる。内容は郡別に一村ごとの村高と所在郷を記したのち郡内村落数と郡高を記し、末尾国別の村落総数と総石高、幕府への提出年紀、作成者・提出宛先人をとどめる。近世前期の鹿児島藩の村高が網羅的に知られるが、当帳に記載された村高は、この郷帳が作成された当時の同藩郷村の現実を反映させたものではなく、そのほとんどは文禄太閤検地によって把握・公認された御朱印高の内容を構成する村と村高、すなわち慶長内検以前当時の村と村高が基本になっている。なお江戸時代には将軍の代替りに伴うもののほか、幕府の命で慶長・正保・元禄・天保各期など数次にわたって行われた国絵図作製事業に付随して一国郷帳が作られた。東京大学史料編纂所の島津家文書中には、寛文郷帳のほかに正徳元年・享保二年・延享三年・天保五年・同九年・嘉永七年・安政六年の郷帳がある。これらはいずれも幕府提出本の控か写と推測されるが、内容はいずれも寛文郷帳と同じである。

活字本 鹿児島県史料集二三

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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