裏無(読み)うらなし

精選版 日本国語大辞典 「裏無」の意味・読み・例文・類語

うら‐なし【裏無】

〘名〙
① 裏をつけてない単(ひとえ)衣類
太平記(14C後)二四「薄色の織襖の裏無(ウラナシ)に、蔦を紋にぞ織たりける」
② (草履は普通二枚重ねて作るが、これは一枚であるところからいう) 藺(い)草や檳榔毛(びろうげ)などで編み、紙の緒をつけた草履。藺金剛。藺履(いぐつ)緒太(おぶと)
春日社記録‐中臣祐明記・承元三年(1209)「足駄・裏無・志多地等ヲ取上御棚之時」
③ 竹の皮で作った草履。〔物類称呼(1775)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の裏無の言及

【草履】より

…《北野天神縁起絵巻》に描かれた尼僧のはく草履は,今日のものとほとんど同じである。また緒の太い緒太(おぶと)草履,イグサ(藺草)を用いて丈夫に編んだ金剛,台の裏に獣皮をつけ,後世の雪駄(せつた)の源流をなす尻切(しきれ),台の長さが足の長さの2倍もある庶民用で粗末な編み方の下々(げげ),底に別の材料をつけない裏無(うらなし)などがあった。鎌倉時代の蒙古襲来の時,わらじの機能と草履の形をとり入れた,踵(かかと)部のない半円形の足半(あしなか)が関東武士によってつくりだされ,武士のあいだに普及した。…

※「裏無」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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